心理療法を受けてから性格が悪くなった!?
「心理療法を受けてから、性格が悪くなった」と言われ、ショックを受けました。
自分としては生きるのが楽になってきたのに、なぜ、「性格が悪くなった」と思われるのか。
私自身の体験をもとに、考えてみました。
心理療法を受けてから性格が悪くなった?
心理療法を受けてから、お姉ちゃんの性格が悪くなった。
お姉ちゃんは、生きるのが楽になってきたって言うけど、どんどんヒドイ人間になってる。
そんな風に妹から言われ、私はショックを受けました。
幼い頃から母に罵倒されて育ち、苦しい思いを抱えて生きてきた私。
「心軽やかな日々を送ってみたい」という執念にも似た願いのもと、自己探究にいそしんできたのです。
心理学科のある大学に学士入学したことを皮切りに、心理学の研修会やワークショップに参加しまくる。
様々な心理療法(心理カウンセリング)を体験する。
試行錯誤、悪戦苦闘のくり返し。
大学に学士入学してから、25年が経ち、「随分と生きやすくなってきたなあ」と感じていた頃。
母が亡くなりました。
母の死の前後は、私、弟(1歳下)、妹(9歳下)で、実家(福島)に3週間ほど滞在。
その後は、毎月4~5日程度、実家に滞在し、兄弟三人で様々な作業を行うことになりました。
弟と私は、しゃにむに作業をこなしますが、妹は経験のないことばかりなので、もたもた。
弟から注意をされることも、しばしばでした。
とはいえ、妹は、弟に何か言われても、グッとガマンをして、作業に取り組んでいました。
そして、母の死から半年が経った頃。
私が、不満ばかり言う妹にイライラして、「そんなで大丈夫なの」と声を荒げたら。
妹が、泣きながら訴えてきたのが、冒頭の言葉でした。
しかも、
一緒に暮らしてるダンナさんや息子くんが、かわいそうでならない。
前の優しいお姉ちゃんに戻ってほしい。
と、きたもんだ。
私の本来の性格とは、「性根が悪い」ということか。
私は、自分をできの良い人間だとは思っていなかったこともあり、改めて「ダメ人間」の烙印を押されたような心もちになりました。
※母の死後、ゴミ屋敷と化した実家を片づけて、母の切なる願いに気づいたことについては、こちら。
心理療法を受けてからのほうがいい感じ?
自宅がある東京に戻った私。
夫と息子に、妹から言われたことを伝え、「私と一緒に暮らすことで、嫌な思いをさせていたら、ごめんね」と謝りました。
ムダに熱血漢な夫は、怒り出します。
心理療法を受けてから、ナオミはいい感じなってきたよ!
そりゃ、怒ると怖いけど、今のほうが楽しそうだし、俺は今のナオミのほうがいい!
妹さんの言うことなんか、気にするんじゃない!
冷静で優しい息子(当時中1)も、同じようなことを言います。
お母さんは、前は精神的に不安定だったけど、最近は落ち着いてきたと思う。
オレは、お母さんと一緒にいて、嫌な思いなんてしてない。
今のほうが、ずっといいと思うから、気にしなくていいよ。
私は、救われた思いになり、ありがたくて涙がこぼれました。
ただ、妹から言われたことに、思い当たることがあったのは事実です。
心理療法を受ける以前、私は自分の意見を言うことが苦手でした。
特に、相手に「No」を言うこと、反論すること、怒りを表すことは、飲み込みがち。
一方、心理療法の体験を重ねるにつれ、自分の意見が言えるようになってきました。
とはいえ、自分の意見を言う経験が少なかった分、加減が分からず、言い過ぎてしまったり。
抑え込まれていた感情、特に、怒りが解き放たれて、コントロールできなくなったり。
そのせいで、私の妹に嫌な思いをさせてしまったのかもしれません。
ですが、私の夫や息子も、同じ目に、いえいえ、妹以上の被害をこうむっているはず。
あれ?
夫や息子から見れば、「以前より、自分らしく生き生きと過ごし、落ち着いてきた」という私。
そんな私を見て、「性格が悪くなった。ヒドイ人間になった」と言う妹。
いったい何が違うのか。
私なりに、考えてみることにしました。
※心理療法で深い体験をした後、感情のコントロールが難しくなったことについては、こちら。
相手の在り方によって見え方が異なる
相手の在り方が違うと、私に対する見え方が異なってくる。
それが、私の出した答えでした。
ありふれていて、ごめんなさいね~。
妹は、私に「理想の姉」であることを望み、それ以外の姿は受けつけなかったのです。
おそらく、母の影響でしょう。
母は、子どもたちに、母にとっての「理想の子ども」であることを切望しました。
そのため、母の思い通りの行動を取らない私を叱りつけ、気が済むまで、罵倒したのです。
しかも、我が家には、「理想の子ども」として立派に育った弟を頂点に、弟ほど「理想の子ども」ではないにしても頭の良い妹、何をやってもグズな私、という、母が作った兄弟の構図がありました。
兄弟の構図の底辺に位置していた私は、母の願う「理想の子ども」に近づき、母に認められたいという一心で、「良い姉」を演じていたのです。
ところが、心理療法の体験を重ね、心が自由になると、私の振る舞いは、母が願う「理想の子ども」「理想のお姉ちゃん」から外れてしまいます。
それが、妹には不快に感じられ、「性格が悪くなった」「ヒドイ人間になった」と受けとめられたのです。
十数年にわたり、一緒に暮らしている夫や息子は、私に「理想の姿」を押しつけません。
まあ、結婚当初は、私に「理想の姿」を期待していた夫も、心理療法を受けて意見が言えるようになった私が全力で拒否するので、あきらめたのかもしれませんけどね。
私も、そんな夫や息子に安心しているせいか、本音をぶちまけ、本性をむき出しにして、暮らしています。
夫や息子は、嫌な思いをすることもあるでしょうが、「まあ、そんなもんだろう」と、大目に見てくれているみたい。
そして、心理療法を受けてからの私の変化も、そのままに受けとめてくれたのです。
心理療法を受けて、気持ちが軽やかになったのに、「性格が悪くなった」と言ってくる人。
それは、あなたに対して、勝手な「理想の姿」を押しつけていた人です。
ありのままの姿を見てくれる人は、あなたの変化を歓迎してくれるに違いありません。
今回は、心理療法を受けてから、「性格が悪くなった」と言われる一方、「いい感じになった」とも言われたことから、その違いについて考えてみました。
善悪の判断は、判断する側の価値観や在り方に影響されるのだと、改めて感じた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。