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諦めなければ心の通い合う友だちに出会える

心の通い合う人に傍にいてほしい。

全ての人の願いなのではないでしょうか。

私の経験から、心が通い合う友だちと出会うために大切なことについて考えてみました。

 

心が通い合う友だちはいなかった

 

「友だちがいないのがツライ。気の合う友だちがほしい」

 

中学生、高校生から、そんな話をよく聞きます。

現在、スクールカウンセラーをしている私。

私自身も同じような経験があるので、そういった話を聞くたびに胸が痛みます。

 

私は、中学を卒業後、県立高校へ進学しました。

中学の時に仲良くしていた友だちと同じクラスだったので、ひと安心。

その子に誘われ、何も考えずにテニス部に入ります。

 

私は、その子とずっと仲良く過ごせるものだと思っていました。

でも、その子は、別な中学からきた友だちと交流を深めていき、気がつけば、私とは、あまり関わらなくなりました。

今から思えば、避けられたとか、外されたとかではなく、彼女にもっと気の合う友だちが見つかったから、自然に離れていっただけなのです。

 

それなのに、「友だちから嫌われた」と勝手に傷つき、人と関わることが怖くなった私。

高校1年の1学期末でテニス部を退部。

自分から人に話しかけることもなくなりました。

 

高校1年の半ばで、1人取り残された私。

とりあえず、一番優しそうな女子2人組に、金魚のフンのようにくっついて回りました。

 

クラス替えになっても、適当なグループの隅っこに入る、くっついて回るという方法で、3年間を乗りきりました。

よっぽどつらかったのか、高校での出来事は、おぼろげにしか覚えていません。

 

一人で悪戦苦闘するけれど……

 

高校時代は、家でも居場所がなく、家族と心が通い合うことはありませんでした。

そんな私に、母は大学へ進学することを勧めます。

息が詰まりそうな家を早く出たかった私は、「東京の大学でもいいわよ」という母の言葉で、一念発起。

 

東京の大学へ入って、楽しい学校生活を送ってみたい!

心が通い合う友だちにめぐり会ってみたい!

 

大学での生活を夢見ることが、私の心の支えでした。

 

でも、高校1年で無気力になってしまったこともあって、成績は学年でも下位ランク。

頑張っても頑張っても成績が上がりません。

高校3年の半ばには、学校へ行く意欲がなくなり、「頭が痛い」と嘘をついて学校を休むようになりました。

ただ、私の嘘に気づいた母の押し出しにより、1週間ほどで登校を再開します。

 

高校3年の秋ぐらいからようやく成績が伸び始め、なんとか、東京の私立大学に合格。

不安と期待が入り混じる大学生活が始まります。

 

自分を変えたかった私は、大学の演劇サークルへ入部。

変身願望がある人は、演劇をやりたがる気がするんですよね。

 

ところが、入部してしまったのは、一風変わった演劇サークル。

体育会系の超ハードな肉体トレーニングをさせられたり、鉄パイプでテントを作って野外公演をしたり、公演前は準備に追われて授業に出られなかったり……。

先輩たちが語る演劇論もチンプンカンプン。

 

サークルの仲間たちと過ごす時間は充実していましたが、私自身は肩に力が入っていました。

最終的に居心地が悪くなり、演劇サークルは、大学2年の終わりに退部しました。

 

心が通い合う友だちに出会えた

 

大学3年の時。

演劇サークルで一緒だった2歳年上の女性から、「新しい劇団を作るんだ。一緒にやらない?」と声をかけられます。

 

女性8人ほどで作られた劇団。

初回公演を銭湯で行ったので、劇団名は「銭湯芝居」。

 

演劇サークルではダメ出しの嵐だった私のド下手な演技を「面白いよね」と認めてくれました。

お互いの家に泊まったり、恋愛話に興じたり、夢を語ったり、親のグチをこぼしたり。

そのままの自分でいても、居心地のいい感じ。

 

心が通い合うって、こういう感じなんだ!

心がほどけていきます。

 

「銭湯芝居」での活動は5年ほど続き、主催者の出産を機に劇団は解散しました。

ただ、「銭湯芝居」で一緒だった仲間たちは、深い絆で結ばれ、解散後、25年近く経った今も交流が続いています。

年1回は集まって、食事をしたり、おしゃべりをしたり。

たまに会っても何の違和感もない、家族のような不思議な関係を保っています。

 

その後も、私が興味をもった分野に飛び込んでいくと、心が通い合う人たちに出会うことができました。

人数はとても少ないものの、今は素敵な人たちに囲まれています。

 

心の通い合う友だちに出会いたいあなたへ

 

すっかりオバサンになった私は、生徒たちから友だちについて相談されると、こう言います。

 

友だちがいないって、本当にツライ。

自分ひとりぼっちなのが寂しいけど、「周りから必要とされてない自分」を感じると、身が切られるようにツライ。

親とか先生は、「自分から積極的に関わってみたら」とか、「気にせず、勉強に励みなさい」なんて言うけど、そんなことできたら、とっくにしてる。

 

友だちは、絶対に持たないといけないものではない。

でも、どうせ付き合うなら、心が通い合う友だちがいい。

 

ただ、本当に気が合う友だちは、100人に1人とか、1,000人に1人ぐらい。

たまたま、同じ地域とか、同じぐらいの偏差値だから集まってくる生徒の中で、気が合う人が見つかったら、その幸運に感謝しないといけないレベル。

 

とりあえず、自分がツラくない程度に工夫しながら、学校生活を送ろう。

どこかのグループにくっついてもいいし、休み時間は図書室で過ごしてもいい。

 

あと、心が通い合う友だちと出会いたいなら、自分の好きなこと、興味のあることを求めていくといい気がする。

本当に興味があることって、魂に近い場所にあると思う。

趣味でも、サークルでも、勉強でも。

自分が興味のあることに集まる人たちは、自分と魂の色が近い人たちだから、心が通い合う確率が高くなるはず。

諦めなければ、いつかどこかで、必ず出会える。

 

生徒は、「魂だなんて、宗教っぽくてコワい」と言いますが、笑顔になります。

 

 

私が、生徒たちに、ちょっと偉そうに言っていること。

たぶん、高校生だった私に伝えたいことです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

※今回の記事は、天狼院書店のメディアグランプリに掲載された文章に加筆修正したものです。

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