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心が穏やかになるのはゲームが上達するのと同じ

2023年9月10日

「ネガティブ思考」の権化で、イヤなことがあると、長々と引きずってしまう。

そんな私も、ちょっとずつ工夫を重ねることで、心が穏やかになっていきました。

今回は、私が実践している「人生はプラスマイナスゼロ」について、お伝えします。

 

「人生はプラスマイナスゼロ」という言葉が浮かんだ

 

仕事からの帰り道、乗っている電車が、急に止まってしまいました。

 

「先行する列車で人身事故が起こりました。ただいま、状況を確認しております」とのアナウンス。

でも、駅と駅との間で止まっているので、じっと待つしかありません。

もう! 家に帰ったら、やらなくちゃいけないことが山積みなのに!

 

20分が過ぎた頃にようやく、「信号が変わり次第、次の停車駅へ向かいます」とのアナウンス。

遅いんだよ!

 

電車は、しばらく経ってからゆるゆると進み出し、次の駅に停まりました。

「列車の復旧時刻は、今のところ未定です。お急ぎの方は、振り替え輸送をご利用ください」

やっぱり、そうきたか!

 

電車を降り、改札を出て、そこから一番近い駅まで歩きました。

普段は使わない路線を使い、ぐるーっと迂回して帰るしかありません。

こんなんじゃ、家に着くのが、いつもより1時間近く遅くなっちゃう!

 

でも、イライラしても意味がない。

冷静にならないと。

そんなことを考えていた時、ふと、頭に浮かんだ言葉。

 

人生はプラスマイナスゼロ

 

はあ!? 何、訳の分かんないことを思いついてるんだ、私!

どう見ても、マイナス要素しかないでしょ、この状況!

 

大変なことが起きていることは分かっています。

ですが、仕事で疲れていることもあり、自分のことしか考えられません。

列車を運行している人たちの苦労にまで、考えがいたらず、いらだちが募ります。

 

「人生はプラスマイナスゼロ」を体感する

訳の分からないことを思いつく自分にも腹を立てながら、さらに別な路線に乗り換えるため、普段は使わない駅で降りました。

すると、乗り換えのための通路に、パン屋さんを発見。

 

わあ! 私の大好きなパンが半額になっている!

 

ハード系のパンで、外側はパリパリ、中はフワフワ。

雑穀を使っているので、かむほどに味わい深く、クルミが入っているのがたまりません。

近所のスーパーにも置いてあるのですが、1/2個で300円ほど。

ちょっとお高いので、私にとっては、そんなにしょっちゅうは食べられない、あのパンが!

 

嬉しくなってパン屋さんに駆け寄り、2個も買ってしまいました。

パンは冷凍すると日持ちします。

お得感満載!

 

あれ? 私、得してる。

これって、プラスってことだよね。

 

先ほどの「人生はプラスマイナスゼロ」という言葉が、急に現実味を帯びてきました。

 

電車が止まって時間と労力を余計に費やしたのが、マイナス。

大好きなパンを半額で2個も買えたのは、プラス。

これって、プラスマイナスゼロってことだわ!!

 

ものすごく納得しました。

気がつけば、電車が止まったことに対するイライラが、全くなくなっていました。

 

どうやら、そのパン屋さんは、遅い時間帯に、安売りセールをするとのこと。

でも、そのパン屋さんがある駅は、普段使わないので、私はそのことを知らなかったのです。

電車が止まって、普段とは違う路線を使ったために、初めて時間限定セールに出合ったのでした。

 

それまで、「人生はバランスで成り立っており、一見、ネガティブな出来事でも、プラスの側面を持つ」と見聞きしたことはありました。

でも、正直、ピンと来てなくて。

 

嫌な出来事をプラスの側面から見ることができるのは、悟りを開いた人とか、人徳者だけだから、私には関係ないと思っていたのです。

私は「ネガティブ思考」の権化なのでね。

 

でも、自分にとって身近なことだと、ピンと来るんだわ。

しかも、この心が穏やかな感じといったら!

 

「人生はプラスマイナスゼロ」をゲームのように取り組む

 

「人生はプラスマイナスゼロ」という考え方。

これは使える!

 

嬉しくなった私は、図に乗って、いきなりトラウマ級のネガティブな出来事を取り上げてみました。

ですが、ポジティブな要素なんて、ひねり出そうとしても、何も出てきやしません。

どうしたらいいか……。

 

そこで思いついたのが、「ドラゴンクエスト方式」。

 

最初は、いくら志はあっても、こちらの実力がまだまだなので、最初はザコキャラと呼ばれるような弱い敵と闘います。

ただし、ザコキャラでも集団で襲ってくると、こちらが倒されてしまうこともあるので、要注意ですけどね。

そして、実践を積むうちにレベルが上がったら、ボスキャラと対戦。

最後に、ラスボスと対峙します。

 

私も、日常的に出合う不愉快なこと(ザコキャラ)に取り組んだ後、ちょっとずつレベルアップしていき、ボスキャラに向き合ってみることにしました。

 

日常的に出合う不愉快な出来事に取り組む

出産したら専業主婦になりたかったのに、夫が出産直前に自宅を購入したせいで、息子が5ヶ月の時から働かなければいけなくなったこと。

自宅の購入は無理だと反対したのに、頑として耳を貸さず、「ナオミが働けば、何とかなるよ」と言いやがって。

このことで、長年、夫を恨み続けていたのです。

 

この恨みがなくなったら楽になるのになあと思い、マイナスの側面とプラスの側面について考えてみました。

マイナスの側面はすぐに思いつくので、先にあげていき、後から、プラスの側面を探していきます。

まず、マイナスの側面。

① 息子の可愛い時期を存分に味わえなかった。せめて、3歳までは一緒にいたかったのに。

② 高齢出産後の仕事復帰だったから、激やせし、時には原因不明の高熱に苦しみ、体調が戻るまで数年かかって、本当につらかった。

③ 夫に金づるとして利用されたという恨みがぬぐえない。

 

次に、プラスの側面。

① 子どもを入れた保育園のママたちがサッパリした気質の人が多くて、面倒なママ友づき合いなど一切なかった。

② 仕事を続けたことが経験として積み上がり、夫に何かあっても大丈夫なぐらいの経済力がついた。夫に依存しなくて済む。

③ 心理カウンセラーとして仕事を続けることで、実力不足を痛感し、勉強を重なる中で、自分も他者も癒せる素晴らしいセラピー技法、仲間たちに出合った。

 

マイナスの側面と同じだけ、プラスの側面を書き出したら。

損ばっかりだと思ってたのに、こんなにも得をしているんだ。

 

そんな気づきが得られ、夫に対して感謝の念すら浮かびます。

自分でもビックリ!

夫との関係も、徐々に修復しました。

 

そして、夫に対する恨みだけでなく、日々に起こる不愉快な出来事も、「人生はプラスマイナスゼロ」という視点で見ていきました。

すると、荒れ狂った心が穏やかになり、「まあ、いいか」と思えるようになっていきます。

 

自分の根本的な課題に取り組む

ザコキャラと思われる案件で鍛錬を積んだ後、ラスボスにチャレンジ!

ラスボスは、「やっぱり私は要らない子」と自分を否定する私自身。

まだちょっと苦戦していますが、今のところ、見えてきたものは……。

 

まず、マイナスの側面。

① 自分に対してエンドレスでダメ出しをするので、地獄の業火で焼かれるように苦しい。

② 生きる気力がそがれる。

③ 仕事や人間関係に悪影響が出る。

 

次に、プラスの側面。

① 自己否定の裏に、「自分は大切な存在であるはず」という切なる願いが秘められている。

② より良い存在になれるよう、自分自身を叱咤激励している。

③ 理想の自分になるために、努力を重ねる原動力となっている。

 

マイナスの側面と同じだけ、プラスの側面を書き出したら。

悪臭を放つような、けがれた存在だった自分が、より良くあろうと懸命に頑張っている姿に見えてきます。

健気だなあと思うほど。

 

頑張ってるんだね。

そんな風に声をかけると、固く縮こまった心が少し緩み、地獄の業火が消えて、穏やかになります。

 

 

「ドラゴンクエスト方式」で、小さな出来事から、プラスの側面、マイナスの側面を見つけて経験値を上げていき、徐々に自分にとってマイナスの側面しか見えてこない出来事に挑んでいく。

心が穏やかになるプロセスは、ゲームが上達するプロセスと同じです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

※今回の記事は、天狼院書店のメディアグランプリに掲載された文章に加筆修正したものです。

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