コミュニケーションが成り立たない配偶者と暮らすための工夫
夫とのコミュニケーションが成り立たないことをきっかけに、夫婦喧嘩がくり返され、疲れ果てた私。
発達凸凹についての知識と、ストレングス・ファインダーの結果を活用して、夫に対応していきました。
今回は、悪戦苦闘した私が行きついた、夫との暮らし方について、お伝えします。
※「発達凸凹」とは、発達障害の診断がつかないまでも、発達障害の特徴を持っていることを言います。
※現在、「ストレングス・ファインダー」は、「クリフトン・ストレングス」と名称を変えていますが、本記事では、一般に広まっている「ストレングス・ファインダー」で表記しています。
夫のおしゃべり爆撃で爆死寸前の私
夫のおしゃべりが止まりません。
興味のあることを、ひたすらにしゃべってきます。
政治、スポーツ、仕事の愚痴、推しの話、などなど。
新聞や雑誌を持ってきて、「ほら、見て」と広げながら。
私が話をすると、私の話の一部に触発され、私を制して自分の話を始める。
私が何をしていても、お構いなし。
私が家事をしていると、台所に突っ立って。
私がトイレに入っていると、トイレのドアのところに立って。
私が仕事に出かけるときは、玄関先で。
私を追いかけてきて、ず~っと、ず~っと、しゃべり続けます。
言うならば、おしゃべりという名の、じゅうたん爆撃を受けているような感じです。
友だちに話すと、「ダンナさんに愛されてるのね」と笑われます。
でも、毎日だと、限界を超えるんですよ~。
特に、仕事で疲れているときや、忙しいときに話しかけてくると。
イラっとして、「今、話しかけるの、やめてくれない!」と声を荒げてしまいます。
すると、夫は、「夫婦なのに、なんで、思ったことを話しちゃいけないんだ!」と反論。
お互いにエスカレートして、大喧嘩に発展します。
夫のおしゃべりをとめる方法が見つからず、私は夫を避ける作戦でしのぐことにしました。
夫が仕事から帰ってくる前に、寝てしまう。
休みの日は、研修会を入れる。
夫と顔を合わせても、私からは、事務連絡以外のことは話さない。
ところが、コロナ禍で、夫が在宅勤務に!
私が仕事から帰ってくると、私を待ち構えていて、しゃべり続ける。
私が在宅で仕事をしていると、ふらりと現れて、しゃべり続ける。
夫のおしゃべり爆撃で、私は爆死寸前の心持ちとなりました。
発達凸凹の特徴をもつ夫への対策を練る
びっくりするほど、しゃべりまくる夫。
そのくせ、私の話には耳を傾けない。
結婚当初は理解できませんでした。
ですが、次第に、夫には、診断がつかないまでも、発達障害の特徴、つまり、「発達凸凹」があるのだと考えるようになりました。
「発達障害(発達凸凹)」には、いくつかの分類(特徴)があります。
私の夫が該当するのは、以下の2つの特徴。
注意欠陥多動症(ADHD):注意力にばらつきがある、じっとしていられない、衝動的な言動をとる、という特徴
自閉スペクトラム症(ASD):人と関わることがあまり得意ではないうえ、こだわりが強く、興味や行動が偏っている、という特徴
そして、しゃべり続けること、つまり、多弁は、「ADHD(注意欠陥多動症)」の特徴のため。
しかも、「ASD(自閉スペクトラム症)」の特徴もあわせもつため、相手の気持ちやその場の状況を察することが苦手。
そのため、私の様子などお構いなしに一方的に話しかけてくるうえ、私の話に耳を傾けることができないのです。
逃げ場がなくなった私は、夫の発達凸凹の特徴を把握したうえで、夫に関わることにしました。
取り入れたのは、「発達障害(発達凸凹)のある人に関わる際の基本的な対応」。
①気持ちや状況をハッキリと論理的に伝える
②してほしい行動を具体的に伝える/ルールや仕組みを作る
③怒りに任せて伝えることはNG
④口頭だけでなく、視覚情報(文字や絵など)も提示して伝える
⑤相手の強みを認め、粘り強く対応する
この5つのポイントを踏まえて、対策を練っていきます。
※「発達凸凹」について、詳しくは、こちらをどうぞ。
※「発達障害(発達凸凹)のある人に関わる際の基本的な対応」について、詳しくは、こちらをどうぞ。
ストレングス・ファインダーがお互いの理解を促した
「夫の話を聞くことがツライ」という私の訴えを、なかなか理解できなかった夫。
ところが、「ストレングス・ファインダー」の結果を示して説明を行うと、一気に理解が促されました。
ちなみに、「ストレングス・ファインダー」とは、アメリカ最大の調査会社ギャラップ社(GALLUP)が開発した、「才能診断」ツールです。
117の質問に答えることで、その人がもっている「才能(資質)」が一覧となって示され、他者や自分を知るために役立ちます。
私は、私と夫の「上位資質」を並べた表、そして、各々の資質の特徴を書いた文書を提示。
ちなみに、「上位資質」とは、「本人が意識しなくても働いている資質(才能)」を指します。
そして、「夫婦のコミュニケーションにまつわる問題」について、次のように、夫に説明しました。
夫の「コミュニケーション」の資質は、たくさん語って、自分を理解してもらうことが大切。
一方、私の「内省」の資質は、一人で静かに過ごし、じっくりと考えを練ることが大切。
そのため、夫の話が延々と続くと、私は一人の時間を奪われ、心穏やかでいられなくなる。
それに加え、夫の資質である「公平性」「信念」。
「あらゆる人々が平等で、幸せであらねばならない」という思いから、政治家などの公人の批判、戦争の悲惨さなどを、熱く語り始めると。
私の資質である「共感性」が、夫の義憤の強さに気圧され、悲惨な状況に恐怖をおぼえ、おびえてしまう。
つまり、私の資質が、夫の資質に脅かされている状況がある。
しかし、夫は、そのことを指摘されると、他人の幸せを願う「信念」の資質が暴走。
「俺は妻を不快にさせるような人間ではない!」と、自己正当化を始め、圧がハンパない。
すると、私は、自分を認めてほしいと願う「自我」の資質が暴走。
「私をないがしろにして、自己正当化をくり返す夫を許せない!」と怒り狂う。
こうした流れによって、夫婦喧嘩が激化し、互いに疲弊する。
お互いの資質を理解したうえで、おしゃべりのルールを決めよう。
夫は、「そういうことか!」と理解を示し、私の提案を受け入れてくれました。
これまで、同じようなことを何度も伝えてきたにも関わらず、全く理解できなかった夫が、です。
私も、自分の置かれた状況を整理することができました。
「ストレングス・ファインダー」、恐るべし!
※「ストレングス・ファインダー」と、各資質の説明については、こちらをどうぞ。
おしゃべりのルールを取り決める
夫の理解が促されたところで、「おしゃべりのルール」を決めました。
ルールは、生活をしている中で、徐々に増えています。
①私が「今は疲れているから、話しかけないで」「その話題は、聞いているとツライから、やめて」と言ったら、夫は話すのをやめる。
②私が夫に対して苦情を伝えたら、夫は「ごめん」と言って謝り、言い訳は一切しない。
③私が家事をしているときに話をしたい場合は、一緒に家事を手伝いながら話をする。
④私が家事や作業をしているときは、新聞や雑誌の切り抜きを見せない。
⑤夫は相手の話に共感する能力に欠けるため、「背中合わせ」をして、私の中の「おしゃべりギブ&テイク」のバランスを保つ。
取り決めた当初は、なかなかルールが守れなかった夫。
つい、しゃべりたくなるし、持論を展開したくなって、やらかしちゃう。
ですが、私がその都度、ルールをくり返し伝えていくと、夫もルールを守れることが増えていきました。
夫がおしゃべりのルールを守れるようになると、私も穏やかな気持ちで夫の話を聞くことができるようになっていきます。
夫婦喧嘩も減っていきました。
※夫婦喧嘩を激減させた「背中合わせ」について、詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
発達凸凹夫との関係改善に功を奏したもの
夫とのコミュニケーションが改善したのは、「発達障害(発達凸凹)のある人に関わる際の基本的な対応」を活用しているからです。
ストレングス・ファインダーの結果を、「視覚情報として示した」ことで、夫の理解が促された。
夫のおしゃべりによって私がこうむる影響、夫婦喧嘩が起こる原因などについて、「論理的に伝えた」。
夫に「してほしい具体的な行動」を、「ルールとして取り決めた」。
ルールを「粘り強く伝え続けた」。
残念ながら、怒りに任せて伝えることが多かった私。
それは、私の根本に、「私は要らない人間」という考えが染みついていたからです。
「私は要らない人間」という考えが出来上がった根本には、私をないがしろにし、暴言を吐き続けた母の存在があります。
母の呪縛から解き放たれ、自分らしく生きるための取り組みは、私自身がしていかなければなりません。
また、私がくり返し声を荒げても、夫は全くへこたれませんでした。
翌日になると、何事もなかったかのように、ケロッとしているのです。
夫には「ポジティブ」という、出来事を前向きにとらえる資質があるため、私に何を言われようと復活します。
夫は、なかなかに厳しい家庭環境で育っているのですが、「ポジティブ」の資質のお陰で、メンタルがやられていないのです。
夫婦のコミュニケーションの問題が改善したことには、夫の資質も影響しているかもしれません。
今回は、発達凸凹についての知識と、ストレングス・ファインダーの結果を活用して、夫婦のコミュニケーションの問題について取り組んだことについて、お伝えしました。
とはいえ、ここまでくるのに、何年もかかっているので、気長に取り組んでみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。