思春期の子どもに伝えたいことがあるとき、「Iメッセージ」を駆使してみる
思春期の子どもに何かを伝えるとき。
正直言って、めんどうくさい!
それでも、何かを伝えなければいけないとき、「Iメッセージ」が役に立ちます。
私自身も駆使している、「Iメッセージ」についてお伝えしますね。
「Iメッセージ」が思春期の子どもに効果的なのは?
「Iメッセージ」で伝えるときに、一番大切なこと。
「私は(I)」を主語にする、ということです。
子どもに何かを伝えたいとき、私たちは、「あなたは(You)」を主語にした「Youメッセージ」を使いがちです。
「Youメッセージ」と「Iメッセージ」。
ニュアンスの違いを感じてみましょう
Youメッセージ(「あなたは」を主語にして伝える)
「太郎(あなたは)、早く寝なさい」
Iメッセージ(「私は」を主語にして伝える)
「お母さんは(私は)、太郎に早く寝てほしいと思っているの」
「Youメッセージ」を使うと、親が自分の考えを子どもに押しつけるニュアンスが生まれます。
子どもの心の土俵に、親が足を踏み入れるイメージ。
小さい子どもなら、「ごめんなさい」と従うかもしれません。
でも、自意識が芽生えてくる思春期の子どもは、自分の心の土俵を死守しようとし、親に反発するのです。
一方、「Iメッセージ」を使うと、親は自分の感想を伝えるといったニュアンスが生まれます。
子どもの心の土俵には、足を踏み入れず、離れたところからメッセージを投げかけているイメージ。
そのため、思春期の子どもは、親が自分のことを尊重してくれていると感じやすくなります。
そして、子どもの側が少し安心するため、親の言い分を聞き入れるゆとりができるのです。
「Iメッセージ」の文章の作り方
「Iメッセージ」の文章って、どう作るの?
なんか、大変そう。
そんなあなたに朗報です。
「Iメッセージ」の文章の構成は、実にシンプル。
次の形式に、必要な要素を当てはめていけばOKです。
①「状況」を説明する。
②「気持ち」を伝える。
③親からの「提案」を伝える。
たとえば、
①状況の説明:お母さんは、太郎が遅くまで起きていると、
②気持ちを伝える:体調を崩してしまうんじゃないかと心配になるの。
③提案を伝える:だから、早く寝てくれるとありがたいなあ。
そして、「Iメッセージ」で伝えたあと。
子どもが、どう反応するかによって、「次の行動」を考えておきます。
たとえば、
親からの「提案」に、「Yes」だったら、「ありがとう」と感謝を伝える。
親からの「提案」に、「No」だったら、もう一度、「Iメッセージ」を繰り返す。
「Iメッセージ」の文章を作るには、親が、自分の「気持ち」を自覚することが、肝心です。
その場の「状況」は、見たままを言葉にすれば良い。
親からの「提案」は、既に頭の中に浮かんでる。
ところが、親の「気持ち」というのが、なかなか見つからない。
私たちは、普段、自分自身の気持ちを考える機会がないからです。
「Iメッセージ」を使うと、自分の「気持ち」を自覚する良い機会となります。
脳トレだと思って、取り組んでみましょう。
※親が、自分の「考え」や「気持ち」を自覚するコツについては、次の記事をご覧ください。
「Iメッセージ」が使えないとき
思春期の子どもに「Iメッセージ」が効果的である、ということは分かった。
「Iメッセージ」の文章も、それなりに作ることができた。
でも、どうしても、「Iメッセージ」を使うのが難しい。
そんなとき、ありますよね。
「Iメッセージ」は、コミュニケーションの問題を解決する、伝家の宝刀ではありません。
無理に使う必要はないのです。
「Iメッセージ」を使うことが難しいときは、大きく分けて、以下の3つのパターンが考えられます。
①親がストレスやこだわりを抱えており、「Iメッセージ」を使う気になれない。
②子どもが繊細であるため、親の「気持ち」を伝えると、「自分のせいで親を困らせてしまった」と、傷ついてしまう。
③親子関係がこじれていて、子どもが、親の言葉を素直に受けとめることができない。
①親がストレスやこだわりを抱えている
ストレスを感じていない親。
こだわりを持ち合わせていない親。
常に、そんな理想的な親でいられるわけがない!
親だって人間です。
理想的な立派な親になりたくても、常にそういられるわけではありません。
仕事、家事、育児、人間関係などで疲れ、ストレスを抱えている場合は、まず、親が自分自身をいたわりましょう。
しんどいときほど、自分に甘く。
これが、真面目な日本人には一番難しいのですが、ストレスフルなときほど、自分を甘やかしましょう。
ゆとりができて、その気になったら、「Iメッセージ」を使ってみようかな、ぐらいが丁度いいです。
「親はガツンと正論をかますべき。Iメッセージなんて使ったら、子どもにバカにされる」
そんなこだわりをもっているあなた。
そんなこだわりを持つにいたった歴史があるはずです。
たとえば、私の夫の場合。
- 父親不在の家庭に育ち、父親として、どう振る舞えば良いか分からない。
- 周りの人から「貧乏」とバカにされて育った。
そのため、「強くて、立派で、バカにされない父親」というこだわりが強いです。
「Iメッセージ」は、使いたがりません。
こだわりは、自分自身を守るために生まれます。
こだわりを簡単に手放すことは、自分自身を脅威にさらすことにになります。
必要に応じて、あなたのこだわりを、ゆっくりゆっくり緩めていきましょう。
②子どもが繊細である
何事も、繊細に感じ取り、必要以上に心配をする、という子どもがいます。
生まれつき、そうした特性を持っているのです。
そうした繊細な感覚を持って生まれた子どもの場合。
親が「Iメッセージ」を使って、親が抱くネガティブな気持ち(悲しい、心配、不安など)を伝えると。
「自分のせいで親を困らせてしまった」と、自分を責めてしまうことがあります。
繊細な子どもに対しては、しゃくし定規に「Iメッセージ」を駆使する必要はありません。
試行錯誤をくり返しながら、その子に合った伝え方を模索していきましょう。
③親子関係がこじれている
親子関係がこじれていると、親が何を言おうと、子どもは猛反発してきます。
「Iメッセージ」は、何の役にも立ちません。
かといって、何も言わずに放っておくと、「お前のせいで、うまくいかなかった」と、いちゃもんをつけてくる。
親としては、「いい加減にしろ!」と言いたくなりますよね。
親子関係がこじれるには、さまざまな理由があります。
- 子どもに発達障害があり、学校生活などで大きなストレスを抱えている。
- 親がかなりのストレスを抱えており、子どもに対して過干渉、あるいは、放任になってしまう。
親子関係がこじれにこじれているときは、第三者のサポートを考えてみましょう。
子どもが学校へ通っているなら、スクールカウンセラー。
学校の人間に相談するのが嫌なら、地域にある教育相談センター、児童相談センター。
いずれも、無料で相談に応じてくれますよ。
よほどの事情がない限り、「Iメッセージ」は、思春期の子どもに使うと、効果的!
私も、息子に使いまくっています。
それに、使い方を覚えると、親子関係だけでなく、夫婦関係にも使える!
どんどん実践してみましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。