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「発達凸凹(発達障害)」をもつ人が苦しい思いを強めるメカニズムとは

2023年8月19日

同じような体験をしても、傷つきやすく、苦しい思いにとらわれやすい人がいる。

なぜなのかを考えていくと、生まれつき「発達凸凹」があるからだと気づきました。

「発達凸凹」を持つ人が苦しい思いを強めるメカニズムについて、考えてみました。

「発達凸凹」とは、発達障害の診断がつかないまでも、生まれつき得意なことと苦手なことの差が大きいという特徴を指します。

 

診断はつかなくても、「発達凸凹(発達障害)」をもっている人がいる

私の母は、感情のふり幅が大きく、「機嫌のいいとき」と、「機嫌の悪いとき」が、まるで別人。

「機嫌のいいとき」は、少女のように笑い、私にも軽口をたたいてきます。

一方、「機嫌の悪いとき」は、目をつりあげ、私を頭ごなしに罵倒しまくります。

私には、母の言動が、理解できませんでした。

 

ところが、心理カウンセラーとして仕事をするようになって、母によく似た雰囲気の男の子に出あいます。

「クラスになじめない」という小学生の男の子。

その男の子は、病院で「発達障害」の診断を受けました。

 

私は、ハッとします。

もしかしたら、母には、「発達凸凹」があるのかもしれない!

 

ちなみに、「発達凸凹」とは、生まれつき得意なことと苦手なことの差が大きいという特徴のこと。

この特徴のせいで日常生活に支障が出ると、「発達障害」という診断がつきます。

 

私の母は、病院で、「発達障害」の診断を受けたことはありません。

でも、「自閉スペクトラム症」の特徴に、当てはまることが多いのです。

以下に、母の特徴を挙げてみました。

 

①集団の中でコミュニケーションをとることや、ほかの人とのやり取りが、難しい。
  • 私の結婚式で、人が死んだ話を楽しそうに披露しており、私の妹に注意される。
  • スイッチが入ると、自分の趣味や、だれかの悪口を、数時間にわたって話し続ける。
  • 私の話に興味が持てないと、つまらなそうな顔をして、話を終えてしまう。
  • 同窓会や人が集まるパーティを嫌がり、ほとんど参加しない。
  • 30代以降、友だちは1人だけ。しかも、一緒に出かけることは、ほとんどなかった。
②行動や興味が偏っている。
  • 知らない場所での外食、新しい土地への旅行は、したがらない
  • 一度、嫌いになると、その相手をトコトン嫌う。
  • 「良い」と思ったものを絶賛し、相手が嫌がっても押しつける。
  • 「物」をコレクションするのが好き。
  • 礼儀作法、言葉づかい、世間の常識を遵守する。
  • におい(臭覚)には、とても敏感(過敏)。
  • 仕事(興味のある分野)では、高い能力を発揮する。
  • 家事(興味のない分野)は、やればできるが、理由をつけてやろうとしない。

※「発達凸凹」について、詳しくはこちら。

「発達の凸凹(発達障害)」をもつ人は、「傷つく体験」が深く心につきささる

「クラスになじめない」という男の子と、私の母。

二人とも、醸し出される雰囲気は似ているのですが、言動がまったく違っていました。

 

男の子は、クラスメイトを指さして、「この子、頭が悪いんだよ」と言うことはありました。

でも、心の声が表に出てしまうだけで、基本的には穏やかな性格。

ご両親の愛情を受けて、すくすく育っている印象でした。

 

一方、私の母は、気分の波が大きく、母自身が苦しんでいる様子が伝わってきました。

でも、母は、基本的には優しい性格の持ち主です。

あの男の子と、何が違うのでしょう?

 

男の子と私の母の違いは、「傷つく体験」の有無。

母は、小さいときから、「傷つく体験」を重ねていたのです。

 

私が、母方の親戚などから聞いて知った、母の「傷つく体験」は、以下の通りです。

  • 実父(母方祖父)が、お酒を飲むと、家族に暴力をふるった。
  • 実父が反対したため、行きたい高校へ行けなかった。
  • 大学へ進学したかったが、実父が病死したため、あきらめた。
  • 高卒後に勤めた会社で、先輩たちにいじめられた。
  • 父方祖父母と同居し、嫁姑、父方の親族との関係で、つらい思いをした。

 

「傷つく体験」は、多くの人の心に、マイナスの影響を与えます。

ですが、「発達凸凹」、特に「自閉スペクトラム症」の傾向がある人の場合。

苦手なことがあるせいで、マイナスの影響が大きくなります。

 

「自閉スペクトラム症」の人がもつ特徴と、起こりやすいマイナスの影響は、以下の通り。

 

①自分の気持ちを客観的に見つめて、整理することが苦手。

感情のコントロールが難しい。

 

②人から嫌なことを言われた・された場合、臨機応変に対処することが苦手。

真に受けてしまい、ひどく傷つく。

 

③言われて嫌だった言葉、傷ついた場面を、くり返しくり返し思い出してしまう。

時間が経つほど、ダメージが大きくなる。

 

私の母も、「自閉スペクトラム症」の特徴をもっていたと思われます。

そのために、「傷つく体験」から、大きな痛手を受けていたのです。

 

私も、母と同じような「発達凸凹」の特徴を持ち合わせてはいますが、母よりは、やや薄めの特徴。

それに、母のほうが、「傷つく体験」を重ねていた。

母のほうが、私より、ツラい思いを抱えていたんだろうなあ。

そんなことにも、気づきました。

 

「発達凸凹(発達障害)」がある人は、「苦しい思い」にとらわれてしまう

 

「傷つく体験」があっても、多くの人は、徐々に回復していきます。

多くの人、つまり、多数派の人たちは、「発達障害(発達凸凹)」の特徴がなかったり、薄かったりする人たちです。

 

ですが、「発達凸凹(発達障害)」、特に、「自閉スペクトラム症」の傾向がある人の場合。

苦手なことがあるせいで、「苦しい思い」を強めてしまいます。

 

「自閉スペクトラム症」の人がもつ特徴

⇒そこから起こるマイナスの影響

⇒「苦しい思い」にとらわれる要因となるもの

は、以下の通り。

 

①人と、ほど良い距離を取ることが、難しい。

相手に依存する(甘える、攻撃する)、相手と関わらないなど、極端な対人関係をとってしまう。

周囲の人たちからの援助が、得られにくくなる。

 

②あいまいなことが嫌いで、白黒ハッキリつけると、安心する。

「相手が悪い」、「自分が悪い」という一時的な判断を、絶対的な判断と思いこんでしまう。

相手への恨み、自分を責める気持ちが、どんどん強くなる。

 

③不安なことがあると、こだわりが強くなる。

新しい行動を起こすことが難しくなり、これまでのやり方に固執する。

嫌いな相手や状況から、うまく離れることができない。

 

④記憶のリフレッシュが難しく、嫌な体験を忘れることができない。

ふとしたきっかけで、「傷ついた体験」を、ありありと思い出してしまう。

愚痴を言うことが、ストレス発散にならず、「苦しい思い」を強めてしまう。

 

私の母も、私や父に対して、甘えと攻撃をくり返し、自分の「苦しい思い」を発散させていました。

父方の親戚が「悪い」と憎んでいましたが、「より良い人間であらねば」というこだわりから、お中元やお歳暮は、欠かしませんでした。

そして、父方の親戚の悪口を言う度に、母の「苦しい思い」が増していくように感じていました。

 

 

「発達障害(発達凸凹)」の特徴を持つ人が、「傷つく体験」を重ね、「苦しい思い」を強めるというメカニズム。

この悪循環をとめることが、心穏やかな日々を送るヒケツです。

 

 

私の母は、「苦しい思い」をかみつぶすような日々を送り、亡くなっていきました。

「母には笑顔でいてほしかった」

「母と同じような苦しい思いをしている人を笑顔にしたい」

それが、心理カウンセラーとして働く私の原点です。

いい年をして、どれだけママっ子なんだろうと、あきれてしまいます。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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