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あなた自身や周りの人を理解し、悩みを解決するために、「発達障害」の知識は役に立つ

2023年8月19日

あなた自身や、あなたの周りにいる人たちを理解する。

そして、悩みを解決する。

そのために、役に立つ要素が、「発達障害」に関する知識です。

今回は、「発達障害」について、診断基準とともにお伝えします。

 

※精神医学の分野では、「神経発達症」と表記されますが、「発達障害」のほうが一般的になじみがあるので、ここでは「発達障害」と書いています。

 

「発達障害」とは?


「発達障害」
とは。

〇生まれつき、脳機能の働きに、アンバランスがある。

〇生まれつき、苦手なことがある。

〇苦手なことのために、生活に支障が出ている。

そんな状態を言います。

 

原因は、特定されていません。

ちなみに、「発達障害」という診断をくだせるのは、医師だけです。

 

「発達障害」は、病気なのか?

いえ、病気ではありません。

生まれつきもっている特徴に過ぎません。

 

ただ、持って生まれた特徴のために、「生活に支障が出る」場合に、「発達障害」の診断がつきます。

そもそも、診断というのは、治療方針を定めるためのもの。

たとえば、「胃潰瘍」という診断がつけば、「胃潰瘍」を治療するための方法が導かれます。

 

つまり、診断は、診断を受ける側がメリットを得る場合につけられるものなのです。

「発達障害」の診断がついた場合、福祉や医療のサポートや、周囲からの配慮が受けられます。

あくまでも、当事者のメリットのため。

なので、「発達障害」の特徴があっても、生活に大きな支障がない場合、「発達障害」の診断はつきません。

 

※「発達障害」の診断がつくか否かについて、詳しくはこちら。


主要な3つの「発達障害」の特徴

 

 

「発達障害」のうち、よく取りあげられるのは、次の3種類。

①自閉スペクトラム症(ASD)

②注意欠陥・多動症(ADHD)

③限局性学習症(SLD)

 

この3つは、特徴が単独で現れる場合もあれば、いくつかが重なって現れる場合もあります。

 

主要な3つの「発達障害」の特徴について、それぞれお伝えします。

※以下、「発達障害」の特徴については、DSM-5(アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断基準・診断分類の第5版)の記述を、私が、勝手に分かりやすく書き直しています。ご了承ください。

 

自閉スペクトラム症(ASD)

「自閉スペクトラム症(ASD)」の特徴は、以下の通りです。

「自閉スペクトラム症」には、「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」と呼ばれていたものが、含まれています。

①集団の中でコミュニケーションをとることや、ほかの人とのやり取りが、難しい。
  • ほかの人と関係を築くこと、情緒的な関わりをすることが、苦手。
  • 表情、口調、声のトーン、身ぶり手ぶりなど、言葉を使わないコミュニケーションを取ることが、苦手。
  • 人間関係を発展させ、その関係を維持することが、苦手。
②行動や興味が、偏っている。
  • 同じ言葉や行動を不自然に続ける、くり返す。
  • 周りのものが、同じ状態にあることに、こだわる(小さな変化を嫌がる、など)。
  • 興味や関心が、きわめて限定されている。
  • 感覚(五感)が、過敏、あるいは、鈍感。

 

ざっくりと言えば、人と関わることがあまり得意ではなくて、興味や行動が偏っている人です。

 

注意欠陥・多動症(ADHD)

「注意欠陥・多動症(ADHD)」の特徴は、以下の通りです。

 

①不注意
  • 細やかに注意を向けることが難しく、ケアレスミスをしやすい。
  • 注意を維持することが難しい。
  • うわの空、注意散漫で、話をきちんと聞いていないように見える。
  • 指示に従えず、やるべきことを、やり終えることができない。
  • やるべきことを、頭の中で整理することができない。
  • コツコツと努力することを、嫌がる。
  • 忘れもの、落としものが、多い。
  • 気になることがあると、そちらへ注意が移ってしまう。
  • 日々、やらなければいけないことを、忘れがち。
②多動性・衝動性
  • 座っているときに、手足をもじもじ動かす、そわそわした動きをする。
  • 着席していることが必要な場面で、席を離れてしまう。
  • してはいけない状況で、走り回る、突飛な行動に出る。
  • 静かに遊べない。静かに過ごせない。
  • 衝動に突き動かされるような感じで、じっとしていることができない。
  • しゃべり過ぎる。
  • 相手の話が終わる前に、話し始める。
  • 順番を待つことが、苦手。
  • ほかの人の邪魔をする、割り込む。
ざっくりと言えば、注意力にばらつきがあって、いつもエネルギッシュに動き回っている人です。

限局性学習症(SLD)

「極限性学習症(SLD)」の特徴は、以下の通りです。

※一般的には、「学習障害(LD)」と言われています。

①特定の領域の学習が、なかなか身につかない。
  • 文字を、間違えずに、スラスラと読むことが、難しい。
  • 読んでいるものの意味を、理解することが、難しい。
  • 文字をつづること、書くことが、難しい。
  • 文章を作って、書くことが、難しい。
  • 数を理解する、計算をすることが、難しい。
  • 算数や数学の問題を解くことが、難しい。
②学習が身につかない原因が、見当たらない。
  • 知的な能力が、平均の範囲以上。
  • 視力や聴力の問題がない。
  • 精神的な病気がない。
  • 社会的に、ひどくしいたげられた状況にはない。
  • 教育を受ける環境が、普通に整っている。

 

ざっくりと言えば、日常生活は何不自由なく過ごせるのに、ものすごく努力をしても、特定の学習に関して、苦手なことがある人です。

 

あなた自身や周りの人を理解し、悩みを解決するために、「発達障害」の知識を役立てる

 

あなた自身や、あなたの周りの人たち。

「どんなに努力をしても、苦手なことが、なかなか改善しない」ということはありませんか?

もしかしたら、「発達障害」の特徴をもっているかもしれません。

 

もちろん、うまくいかないことが、すべて「発達障害」のせいとは限りません。

自信がないために、実力を発揮できないという場合もあります。

 

とはいえ、あなたやあなたの周りの人たちについて、どうしても理解できないとき。

「発達障害」の知識を使って、考えてみてほしいのです。

 

私自身も、「自分には診断がつかないまでも、発達障害(自閉スペクトラム症)の特徴がある」と気づいてから。

自分に対する理解が進みました。

 

生まれ持った苦手さがある。

残念だけど、仕方ない。

自分を生きるしかないな。

そんな風に思えるようになりました。

 

とはいえ、「発達障害の特徴があるかもしれない」と考えたり、言われたりするのは、ショックです。

私も、「発達障害の特徴がある」と自覚してはいました。

それなのに、ほかの人から「(発達障害の特徴が)ありますよね~」と指摘されたとき。

「私は、ほかの人とは違っているんだ…」と、寂しくなりました。

 

ですから、表立って、「発達障害がある!」と言う必要はありません。

表立ったサポートが必要な場合は、医療機関を受診するのも手です。

いずれにしても、使えるものはドンドン使って、生活の質を上げることが大切!

 

そして、「発達障害」がある人が、自分を生きるためのポイント。

自分の得意や強みを知る。

得意を活かして、苦手をカバーする。

どうしても苦手なことは、周りの人に助けてもらう

 

自分を生きるために、できることはあります。

 

 

今回は、「あなた自身や周りの人を理解し、悩みを解決するために、発達障害の知識を役立てる」ということについて、お伝えしました。

発達障害の特徴は、あなたやあなたの周りの人を理解し、より良い日常生活を送るために、活用するものです。

「特徴(傾向)」が分かれば、「対策」も見えてきます。

相手を差別するために使うのは、間違っていますから、ご注意くださいね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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