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「その人らしさ」に触れることで、いつものパターンが崩れる【私が自分を生きるまで⑦】

2024年2月22日

母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。

「自分を生きる」ために、努力を重ねていきます。

人と関わるのがツラくて、「ツライ思いをするところから離れ、二度と近づかない」というのが、いつものパターンだった私。

ところが、新しい体験によって、いつものパターンが崩れ去りました。

 

いつものパターンが出現する

苦しい思いを抜け出し、自分らしさを取り戻したいと切望していた私。

「ここなら、何とかなるはず!」という期待を胸に、「ハコミセラピー」Beingコースに参加しました。

 

ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」をベースに、心と身体の両方に働きかけるセラピーです。
「マインドフルネス」とは、ゆっくりと深呼吸をして、目をつぶり、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていくことです。
※「ハコミセラピー」Beingコースとは、「ハコミセラピー」の手法を使って、自分の中で起こる体験を重視し、自分の在り方を見つめるコースです。

 

ところが、「ハコミセラピー」Beingコースに、参加し始めて、早々から……。

私の心の内面に存在する、ある部分が、猛烈な勢いで、私を責め立ててきました。

人とうまく関われないとき。

やるべきタスクを、うまくこなせないとき。

 

私は、この叱責してくる部分を、心の中にいるキャラクターの1人ととらえ、「タカハシさん」と名づけています。

「タカハシさん」は、私がいかにダメな人間であるかを、しつこいほどに言及してきました。

日常生活で起きていることが、「ハコミセラピー」Beingコースにおいて、スケールアップして現れた感じです。

 

「ハコミセラピー」Beingコースに参加して、5日目。

とうとう、私は、「ハコミセラピー」のワークに、参加することができなくなりました。

自分を叱責する声に追いつめられ、ツラいし、苦しい。

身動きが取れなくなり、座布団の上にうずくまるのが、精一杯でした。

 

「ハコミセラピー」は、今日を最後にやめよう。

頃合いをみはからって、家へ帰ろう。

そんな風に考えていました。

 

自分で自分を責める。

そのことで、ツラくて、たまらなくなる。

やりきれなくなったときに、ツライ思いをするところから離れ、二度と近づかない。

日常生活でくり返されている、いつものパターンです。

 

参加者の号泣に救われる

座布団の上にうずくまり、じっとしていると。

ある参加者の女性が、大声をあげて泣いているのが聞こえてきた。

その女性は、ここ数ヶ月の間に、あいついでご両親を亡くされていました。

 

一緒に泣きたい!

突然、私の中に、ドワッと思いがわきあがってきます。

気がつくと、私は、その女性のそばに座り、一緒においおいと泣いていました。

 

泣いている女性と、ちょっとつながりたい感じも、出てきます。

相手の足の指先と私の足の指先をチョンとくっつけてみたら、すごく安心しました。

 

いきなり、親しくもない参加者がそばへ近寄り、足の指先をくっつけてきて、大泣きしている。

あり得ない状況ですが、“一緒に泣いていい”という、受容的な雰囲気があります。

近くにいたハコミ公認トレーナーの阿部優美さんも、私の足先にチョンと足先をくっつけてきました。

さらに安心します。

 

足先を二人とくっつけたまま、たくさんたくさん泣いたら。

「もうちょっとだけ、この場にいてみよう」という気持ちになりました。

 

参加者のいびきに癒される

 

参加者の号泣のお陰で、かろうじて、「ハコミセラピー」の会場にとどまることができた私。

ですが、引き続き、ワークには参加できません。

 

私の様子を見たからか、ハコミ公認トレーナーの阿部優美さんが、部屋を2つに分けました。

部屋の半分には、ワークに参加する人。

もう半分には、ワークに参加しない人。

私は、ワークに参加しないほうに、移動しました。

 

すると、私の心の中にいる批判的なキャラクター、「タカハシさん」が、グチグチ言い始めます。

  • 心根のすばらしい人たちは、ツライ思いを抱えていても、ちゃんとワークに参加できて、どんどん改善していく。
  • ワークにすら参加できないあなたは、本当にダメな人間。改善なんて、できるはずがない。

 

ワークに参加しないのは、私一人だけだと思っていました。

「ワークに参加できないようなダメ人間」は、どう見ても、私だけだからです。

 

ところが、私のほかに3~4名が、参加しないほうの部屋に移動してきました。

すると、私の心の中にいる批判的なキャラクター、「タカハシさん」が、勢いづきます。

  • ほかの人は、ワークに参加したかったのに、初心者のあなたが不参加だから、同情してつきあってくれている。
  • あなたは、ほかの人がワークに参加する機会を奪った、最低の人間。

 

私は、「タカハシさん」の批判に、打ちひしがれます。

ひざを抱えて、しょんぼりと座ることしかできません。

私以外の3~4名の参加者は、床に寝転がっています。

 

そのとき。

床に寝転んでいたある参加者の女性が、いびきをかき始めました。

 

なんと!

いびきをかいて、ガッツリ寝ている!

私がかわいそうだから、付きあったんじゃないのか!

本当に、ワークに参加するつもりがなかったんだ!

 

そう思うと、あんなにツラかった気持ちが、スーッとひいてなくなります。

 

ハコミ認定セラピストの女性が、「あなたのしたいことをしてみるのはどう?」と声をかけてくれました。

寝転がっている参加者の協力を得てもいいとのこと。

 

いつもなら、「タカハシさん」が、騒ぎ立てます。

あなた一人のために、参加者の手をわずらわせて、プログラム以外のワークをしてもらうなんて、図々しい!」って。

 

ですが、いびきをかいて気持ちよさそうに寝ている女性を見て、度肝を抜かれたみたい。

「タカハシさん」が、静かになっています。

 

私は、寝転がっている参加者たちに、互いの足の指先をくっつけてもらいました。

そして、私もその輪の中に入って、「マインドフルネス」

ゆっくりと深呼吸をしながら、目をつぶり、「今、この瞬間」に起きていることを感じていきます。

 

対人恐怖の症状で苦しんでいた私にとって、足の指先だけで人とつながる距離感は、とても心地よい。

「安心して人とつながる感触」というものを存分に味わいました。

 

「その人らしさ」が、心を解きほぐす

 

「ハコミセラピー」のワークの最中に、号泣していた女性、いびきをかいて寝ていた女性。

2人とも、「ハコミセラピー」のグループワークに、10年以上にわたり、参加してきた方たちです。

「ハコミセラピー」での体験を通して、「自分らしく在る」ということを、体現しています。

 

「その人らしく、そのままに存在する」という、参加者の「在りよう」

あまりにも自然で、存在感がありすぎる、「その人らしさ」

 

そのため、私の心の中にいる批判的なキャラクター、「タカハシさん」も、「その人らしさ」に見ほれてしまった!

しかも、仕組まれたものではない。

意表をつかれた「タカハシさん」は、私に対して、いつもの叱責を出しそびれてしまったのです。

「タカハシさん」が静かだと、私は動きやすくなります。

 

「自分らしく在る」ということは、その人自身にとっても大切なことです。

ですが、周りの人にも影響を与えるのだ、ということを痛感しました。

特に、私のように、自分で自分をしばっているタイプにとって。

 

一緒に過ごす人たちの「その人らしさ」は、最高の特効薬となりました。

意表をつくぐらいが、凝り固まった心には、効果的なんだなあと思いつつ……。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

続きはこちら。自分を責める考えの裏には「ポジティブな思い」がありました。


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