苦しみを作り出していたのは自分だった【私が自分を生きるまで⑥】
母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。
「自分を生きる」ために、努力を重ねていきます。
努力の過程において、苦しみを作り出しているものの存在に気づきました。
※自分の心の内面を擬人化して理解するという話は、こちら。
私の原動力ではあるが、常識を超えてしまう存在
自分の心の内面で起こっていることを、擬人化したところ。
「6人のキャラクター」に集約されました。
その「6人のキャラクター」のうち、私の原動力になっているのが、3歳~4歳ぐらいの女の子。
天真爛漫で、思いついたことを、どんどんやってしまいます。
ちょっと常識を超えちゃうところがあるのが、なんとも言えないんだけどね。
私は、自分の名前をもじって、「なおちゃん」と名づけました。
そして、私が母ののろいを解くために、悪戦苦闘、試行錯誤していくとき。
私を引っ張り、後押ししてくれるのが、「なおちゃん」です。
私の人生を大きく変えてくれた、「ハコミセラピー」に出合ったときも、そう。
2015年の夏でした。
※「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」をベースに、心と身体の両方に働きかけるセラピーです。
※「マインドフルネス」とは、ゆっくりと深呼吸をして、目をつぶり、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていくことです。
「なおちゃん」が、「これよ!これ!」と、大きな声をあげて、激しく主張!
私は、「なおちゃん」に引きずられるようにして、「ハコミセラピー」のワークショップに参加するに至ります。
「ハコミセラピー」のワークショップに3回ほど参加すると。
「なおちゃん」は、「やっぱり、これしかない!」と言い切ります。
私は、「なおちゃん」のパワーに後押しされ、「ハコミセラピー」Beingコースに参加しました。
※「ハコミセラピー」Beingコースとは、「ハコミセラピー」の手法を使って、自分の中で起こる体験を重視し、自分の在り方を見つめるコースです。
「ハコミセラピー」Beingコースが、自分らしさを取り戻せる場所だと直感した「なおちゃん」。
もう、水を得た魚のよう!
驚くほど、本領を発揮します。
「ハコミセラピー」Beingコースへの参加初日。
ハコミ公認トレーナーの阿部優美さんが言います。
ハコミは、体験が大切。
どう泳げばいいかを知るには、まず、泳いでみることが、一番の早道。
泳いで初めて、分かることがある。
思ったことがあったら、どんどんシェアするといいよ。
「そうなんだ!」と、目が光った「なおちゃん」。
なんと、参加初日から、みんなの前で、自分の思ったことを、シェアしまくります。
「なおちゃん」が、参加者全員の前で、シェアしたこと。
- 「ハコミセラピー」のBeingコースは、居心地が悪い。
- 「ハコミセラピー」のBeingコースには、居場所がない。
- 自分はダメな人間だ。
- 日常生活でも、同じように、居心地が悪い、居場所がない、自分はダメな人間だ、と思っている。
言われた相手が嫌な思いをするだろうなあということまで、遠慮なく言いまくります。
「なおちゃん」のあけすけなシェアをきっかけに、参加2日目には、私を中心とするグループワークまで、おこなわれてしまいました。
私に指示と叱責を連発する存在
「ハコミセラピー」Beingコースに参加した初日。
「なおちゃん」ではない、別のキャラクターも、活発に動いていました。
口うるさい、厳しい感じの女性。
おそらく、「私の母の分身」といった存在です。
私は、母の名前をもじって、「タカハシさん」と名づけました。
私が、「ハコミセラピー」のBeingコースに、初めて参加する朝。
「タカハシさん」は、早々に指示を出してきました。
- 今日、初めて会う人に対して、失礼があってはいけない。
- 自分のほうから、相手に愛想よく話しかけ、相手から好かれないといけない。
「タカハシさん」の指示に従って、私は、ほかのメンバーに話しかけます。
すると、「タカハシさん」から、厳しいダメ出し!
- 相手が興味をもつような、気持ちが楽しくなるような話題じゃないと、ダメ!
- 相手には、ほんのちょっとでも、不快な思いをさせてはいけない!
私が、どんな話題を出したらいいか、困ってしまい、黙っていると……。
- 黙っていたら、相手を嫌な気持ちにさせてしまう!
- 早く、気のきいたことを言わないといけないと、ダメ!
相手に話しかけても、ダメ出し。
黙っていても、ダメ出し。
私は、どうしたらいいか分からなくなり、固まってしまいます。
すると、「タカハシさん」から、さらなるダメ出しの嵐。
- 気のきいたことの1つも言えないなんて、情けない!
- そんなだから、みんなに嫌われるのよ!
さらに、「なおちゃん」の言動が、「タカハシさん」の怒りを加速させます。
「なおちゃん」が、参加者全員の前で、本音をシェアするのを聞いて、「タカハシさん」は怒り心頭。
- 「居心地が悪い」とか「居場所がない」なんて、よくもまあ、言えたもんだ!
- 相手が嫌がるようなことを平気で言う、ガサツな人間だから、みんなから嫌われるのよ!
「タカハシさん」からの激しい叱責を受け、私は、どんどん元気がなくなっていきます。
そして、人の輪に入っていく気力がなくなり、結局、一人でいることを選んでしまうのです。
私を叱責する存在が、苦しみを生み出していた
「タカハシさん」は、人との関わり方について、うるさく口出ししてきます。
しかし、それ以上に、私の失敗は、決して許しません。
「ハコミセラピー」Beingコースに参加した3日目。
「相手の話を聞いて、相手の感情を、短い言葉で返していく」というワークを行いました。
「ハコミセラピー」では、「コンタクト」と呼ばれる技法の練習です。
私は、うまく言葉を返すことができず、まごまごしてしまいました。
すると、「タカハシさん」の叱責が、燃え上がります。
- 心理カウンセラーのくせに、そんなこともできないなんて、クズ以下!
- こんなんじゃ、心理カウンセラーをやっているなんて、恥ずかしくて、口が裂けても言えない!
その後も、相手の感情を、短い言葉で返すということが、うまくできません。
その都度、「タカハシさん」に罵倒されます。
責められると、余計に緊張してしまう。
「ちゃんとやらなきゃ!」という思いで、私はガチガチになっていきました。
それなのに、「なおちゃん」は、自分が感じたことを、みんなの前でシェアしてしまうのです。
みんなに知られたくないことを、ベラベラベラベラ。
当然のことながら、「なおちゃん」の言動は、「タカハシさん」の怒りの炎に油を注いでしまいます。
「タカハシさん」の叱責は、日常生活での叱責を、はるかに超えるレベルに!
「ハコミセラピー」Beingコースに参加した5日目。
「タカハシさん」の叱責は、あり得ないほど、パワーアップしていました。
私は、一方的に罵倒されて、ボロボロに打ちのめされ、身動きができなくなっていきます。
とうとう、「ハコミセラピー」のワークに参加することができなくなりました。
一人で座布団の上にうずくまるのが、精一杯。
ほかの参加者が、「ハコミセラピー」のワークに参加している姿を見ると。
「タカハシさん」が、私に追い打ちをかけます。
- せっかくお金を払って、時間を割いて来ているのに!
- ワークに参加することすら、できないなんて、人として、もう終わっている!
もう、イヤだ!いい加減にして!
わがままで自分勝手な「なおちゃん」も、もうイヤ!
ダメ出しばっかりの「タカハシさん」も、もうイヤ!
二人の頭を石でたたきつぶして、二人を消し去りたい!
もう、何もかもが、イヤ!!
「ハコミセラピー」Beingコースに参加して、まだ、5日目の途中だけど、もう、無理。
休み時間になったら、もう、家へ帰ろう。
「ハコミセラピー」には、もう、二度と、来ない。
そう決心しました。
「ハコミセラピー」では、「マインドフルネス」を丁寧におこないながら、いろいろなワークをしていきます。
「マインドフルネス」とは、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていくことを言います。
「マインドフルネス」の状態になると、意識の活性度が下がり、無意識の中にあるものが、前面に出やすくなります。
そのため、日常生活でも起きていることが、「ハコミセラピー」の場では、スケールアップして、起こってくるのです。
「タカハシさん」に責められることで、苦しくなり、人が集まる場所を避けるというプロセスは、日常生活でも、起きています。
ただ、そのことをハッキリと意識せずに、過ごしているだけ……。
結局、「苦しい思いを作っているのは、私自身だった」のです。
苦しい思いを改善する最初の一歩は、自分がはまっているパターンに気づくことなんですね。
身をもって知りました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
続きはこちら。参加者のそのままの在りようが、私を救いました。