ストレスによる脳疲労やフラッシュバックを鎮めるヒケツは足の指
ストレスを感じた場面が何度も思い出され、イライラしたり、気分がよどんだり。
そんなときは、脳の興奮が高まっており、脳がどんどん疲労していきます。
「心軽やかな日々を送ってみたい」という執念のもと、自己探究を重ねてきた私。
自己探究オタクの私が見つけた、ストレスによる脳疲労やフラッシュバックを鎮める簡単な方法について、お伝えします。
神田橋條治先生が発案した「足の5本指いい子」
ストレスによる脳疲労やフラッシュバックを鎮める簡単な方法。
精神科医の神田橋條治先生が開発した、その名も「足の5本指いい子」です。
足の指先をさするだけなので、誰でも簡単に取り組めます。
長年、精神科医療に携わってきた神田橋先生は、精神科での治療が薬物の投与に偏っている現状を、うれいていらして。
身体がもつ「自然治癒力」に関心を向け、東洋医学、特に、鍼灸(経絡・ツボ)、気功、整体などを取り入れた、独自の「心身養生の方法」を編み出してきました。
神田橋先生によると、ストレスによる脳の疲労は、脳の興奮が激しくなるために起こるそうです。
特に、子どもや発達障害のある人は、ときおり、パニックになったような興奮を示したり、大暴れしたりしますが、その本質は、「フラッシュバック」であるとか。
ちなみに、「フラッシュバック」とは、強いストレスやトラウマ(心的外傷)を体験した後に、突然、そのときの記憶や感情が、今現在起こっているかように鮮明に思い出される現象を言います。
子どもや発達障害のある人に限らず、強いストレスを体験した場面が急に思い出され、つらくなることは、誰にでもあるのではないでしょうか。
ストレスで脳が疲労しているとき、フラッシュバックが起きてつらくなっているときに試してほしいのが、経絡を参考に編み出されたという「足の5本指いい子」。
しかも、苦しい体験(トラウマ体験)を思い出しながら行うと、その体験を卒業することができるので、トラウマ治療にもなります。
「足の5本指いい子」のやり方とポイント
「足の5本指いい子」のやり方
①右手の5本の指先をすぼめて、左足の指先を包むように、優しくふれる。
②足の指先をビンのフタ(ペットボトルのキャップ)を開ける方向に、回すようにさする。
③親指から順に、1本の指につき、10回ずつ回す。
④左足の指を、親指から順番に小指まで回し終えたら、次は、左手の5本の指先で、右足の指先を、同じようにさする。
⑤「右手で左足を」「左手で右足を」がポイント。
⑥足の指先をさすっている間は、リラックスする感じ、気持ちいい感じをじっくり味わう。
⑦苦しい体験(トラウマ体験)を思い出しながら行うと、その体験を卒業することができる。
「指の5本指いい子」を行う際のポイント
子どもにするとき・自分でするとき
大人が子どもにしてあげるときには、大人の膝に子どもの両足をのせて行う。
大人が自分自身に行うときは、自分の膝に、もう片方の足をのせて行う。
私の場合、股関節が固いので、自分自身に行うときは、ベッドの上に体育座りをして、片足ずつ行う。
回す方向が分からなくなる場合
ペットボトルのキャプに、開ける方向の矢印を描いて、準備しておく。
ペットボトルのキャップを、指先にはめ、回す方向を確認してから、実際に回す。
経絡の知識で作られたもの
神田橋先生の著書によると、「正経十二経」という主要な経絡が全身をめぐっており、脳からの経絡は足の5本の指につながっているとか。
そのため、足の指先を優しくねじると、脳の邪気が淡くなるらしい。
ちなみに、経絡とは、東洋医学で、生きるために必要な血や気の通り道として考えられたもの。
「神田橋條治が教える心身養生のための経絡・ツボ療法」という著書に記載されたQRコードを読み込むと、神田橋先生が「足の5本指いい子」のやり方を教えている動画を見ることができます。
「足の5本指いい子」を実践して感じたメリット
取り組みやすい点
何よりも、手順が簡単。
誰でも、手軽に取り組めます。
両足を行っても、所要時間は、わずか1分半~2分程度です。
効果を実感する
「足の5本指いい子」をひと通り行うと、胸の内側に渦巻いていた激しい感情が、徐々に穏やかになり、嫌な体験を忘れることができる。
たとえば、仕事で失敗したことがくり返し思い出され、「私は能力がない!」と自分を責め、不安が強まってしまうとき。
「足の5本指いい子」を行うと、徐々に、自分を責める言葉が消えていきます。
仕事での嫌な体験も、不安も、だんだんと薄れていき、「まあ、いいか」と思えてくるから、あら不思議。
文字通り、ストレスによる脳疲労やフラッシュバックが鎮まり、脳が楽になるという感じです。
足の指先の血行が良くなる。
足の指先が、ほんわかと温かくなるので、寝る前に行うのがおススメです。
気持ちよく入眠できます。
お子さんに行うと、効果が高い。
スクールカウンセラーとして働いている私は、私が関わる相談者(クライエント)の方々にも、必要に応じて「足の5本指いい子」を紹介しています。
- 発達障害があるために、パニック(かんしゃく)を起こしやすい子。
- 過去にあった嫌な出来事、ツライ体験を思い出して、苦しくなってしまう子。
そうした子どもたちが、親御さんに「足の5本指いい子」をしてもらうことで、気持ちが穏やかになった、パニックを起こすことが減ったという報告を受けています。
「足の5本指いい子」を実践して感じたデメリット
取り組みづらい点
人前で行いづらい。
どこでもできるという強者がいるかもしれませんが、私は、自宅でしか取り組めません。
足指がくっついていると、足の指先をさするのに苦労する。
私の場合、足指がくっついているところは、左手で左足(右手で右足)の指先をガッと開いて行っているものの。
ときおり、足がつります。
足指が柔らかい若者向きかもしれません。
効果を実感しづらい場合
トラウマ(心的外傷)にとらわれ過ぎていると、効果を実感しづらい。
私が、かつて「足の5本指いい子」を実践した際、ネガティブな感情が鎮まっても、しばらく経つと、ふつふつと再燃してきて、効果が感じられないことがありました。
でも、自己探究を重ね、少し生きやすくなってから、「足の5本指いい子」を試したら、効果を感じるようになったんです。
私の場合、母に罵倒されて育ったせいか、複雑性トラウマ(親子関係の中で傷つく体験を重ねてきたために生じるトラウマ)を抱えています。
しかも、あり得ないほど、母に執着し、実の母から思ったように愛されたいと、もがき苦しみ、こじれまくっている。
そのこじれが、少し弱まったら、「足の5本指いい子」に効果を感じるようになったのです。
「足の5本指いい子」を行うと、気持ち良いので、今はお気に入り。
神田橋先生は、トラウマ治療に効くとおっしゃっていますが、トラウマにとらわれ過ぎている人は、効果が期待できないかもしれません。
※こじれている私でも、フラッシュバックを消すことができた別な方法については、こちら。
※職場や電車の中でも、心を整えることができる、手の指先をなでる方法については、こちら。
今回は、ストレスによる脳疲労とフラッシュバックを鎮める「足の5本指いい子」について、お伝えしました。
感情の波を鎮め、ほんわかした気持ちになりたい方、そして、お子さんにおススメです。
ぜひ、試してみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
<引用・参考文献>
- 神田橋條治・白柳直子(2018)神田橋條治の精神科診察室
- 神田橋條治(2019)心身養生のコツ 岩崎学術出版社
- 神田橋條治(2020)神田橋條治が教える心身養生のための経絡・ツボ療法 創元社