自分を責めさいなむ「内なる子ども」を静かにさせる【私が自分を生きるまで㉔】
母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間」と信じ込んで生きてきた私。
「自分を生きる」ために、努力を重ねていきます。
苦しい思いの根本にあったのは、私自身を責めさいなむ「内なる子ども」でした。
試行錯誤を重ねながら、「内なる子ども」を静かにさせる方法を見つけたことについて、お伝えします。
自分を責めさいなむ「内なる子ども」の存在
苦しい思いの根本にあったのは、私自身を責めさいなむ「内なる子ども」の存在。
私が失敗したり、思い通りの結果を出せなかったりすると。
その「内なる子ども」が、私のことを「ダメ人間」と決めつけ、ダメ出しの嵐が止まらないんです。
挙句の果てに、「世界中の人が私を許しても、私が私を許さない!!」と言い出す始末。
四六時中、「内なる子ども」からのダメ出しを受け、頭ごなしに否定されるんですから。
心が削れて、元気がなくなるのは、致し方なし。
この子が静かになれば、気持ちが楽になるはず。
私は、私自身を責めさいなむ「内なる子ども」に対処してみることにしました。
※手強い自責の念の正体が、「内なる子ども」だったと気づいたことについては、こちら。
自分を責めさいなむ「内なる子ども」を消せばいい?
自分を責めさいなむ「内なる子ども」を、消してしまえばいい。
自分を責めさいなむ「内なる子ども」に苦しんでいる人なら、そう願ってしまうのではないでしょうか。
数年前まで、私も、「自分を否定する部分をなくしてしまえばいい」と思っていました。
ところが、なくそうと思えば思うほど、自分を否定する部分が強まり、自分で自分の首を絞めることになるのです。
私も、泣くほど苦しみました。
なぜ、簡単に消し去ることができないのでしょうか。
一見、ネガティブに見える存在でも、ポジティブな部分を持ち合わせているから。
ちなみに、私自身を責めさいなむ「内なる子ども」は、私という存在に対して、切なる願いを抱いてます。
ひとかどの人間になってほしい。
切なる願いがあるからこそ、ひとかどの人間になるために、努力を重ねることができます。
私が頑張る原動力ともなってます。
ところが、切なる願いを抱いているからこそ、ひとかどの人間になれていない私を目の当たりにすると、ガッカリして、腹が立ち、罵倒せずにはいられなくなってしまうんです。
自分を責めさいなむ「内なる子ども」を消そうとすると、切なる願いまで消すことになるので、消し去ることが難しい。
そのため、自分を責めさいなむ「内なる子ども」を消し去るのではなく、静かにさせることが、賢明なやり方なのです。
自分を責めさいなむ「内なる子ども」を外在化する
私は、私の心の中にいる存在を「7人のキャラクター」として認識しており、自己理解とセルフケアに役立てています。
実は、ひとり一人が何歳ぐらいか、どんな性格や役割があるかに思いをはせながら、ビジュアル化し、名前をつけているんです。
早速、私自身を責めさいなむ「内なる子ども」をキャラクター化する作業に取りかかりました。
その子は、8~9歳ぐらいの女の子。
体操着姿(半袖、短パン)で、メガネをかけ、髪を2つに結んでいる。
学級委員とか、風紀委員をしているような感じで、とっても口うるさい。
私は、その子に、「なおなお」という名前をつけました。
心の内側にあるものを、自分とは別のもののように対象化することを、心理学では「外在化」と言います。
たとえば、心の中にいる「怠け虫」とか、「意地悪小僧」とか。
「外在化」することで、心の中にあるものと距離が取れ、客観的に見ることができるため、扱いやすくなります。
私は、私自身を責めさいなむ「内なる子ども」を、「なおなお」というキャラクターとして、外在化しました。
そして、「なおなお」を静かにさせるための方法を模索していきます。
※心の中にあるものをキャラクター化して対応していくことについては、こちら。
自分を責めさいなむ「内なる子ども」を静かにさせる方法
「なおなお」と対話をするときに役に立つのが、「マインドフルネス」の状態。
「マインドフルネス」の状態になると、顕在意識と言われる理性的な意識が低下していき、無意識にあるものが現れやすくなるんです。
ゆっくりと深呼吸をしながら、目をつぶり、今自分に起きていることに意識を向ける「マインドフルネス」の状態になって。
「なおなお」のイメージが浮かんできたら、大人の私が「なおなお」に声をかけるというやり方で、対話を試みるのです。
「なおなお」を静かにさせようとして、試行錯誤を重ねた私。
「うまくいかなかった方法」と「うまくいった方法」について、ご紹介しますね。
うまくいかなかった方法
気持ちに寄り添ってみる
「なおなお」の気持ちに寄り添ってみました。
ひとかどの人間になれないから、怒っているんだね。
何をやってもダメな人間だと思って、ガッカリしちゃってるんだね。
「なおなお」の気持ちを言葉にしたり、怒りや悲しみごと抱きしめるイメージを浮かべたりしても。
気持ちを分かってもらえるのは、ありがたいけど。
ダメ人間は直らないから、意味がないじゃない!
残念ながら、火に油を注ぐ感じで、「なおなお」の怒りや不満は、さらにヒートアップ。
失敗に終わりました。
説得してみる
先ほどのように、「なおなお」の気持ちに寄り添ってみた後。
「なおなお」を説得する言葉をかけてみました。
「なおなお」は、私に、「ひとかどの人間になってほしい」と思っているんだよね。
そう思って、私を叱咤激励してくれて、ありがとうね。
ただ、「なおなお」の言い方だと、「きいちゃん(私の中の傷つきやすい内なる子ども)」が、しょんぼりしちゃうの。
「きいちゃん」がしょんぼりすると、エネルギーが出なくなって、「ひどかどの人間になる」という目標から、遠ざかってしまう気がするんだ。
「ひとかどの人間になる」という目標を、少しでも早く達成するために、「きいちゃん」が元気になるような言葉かけを考えてくれないかな。
すると、「なおなお」は、ぐうの音も出ない感じになり、一時的に静かになります。
ですが、うまくいかないことが起きると、「なおなお」は、やっぱり文句を言い始めちゃう。
「ひとかどの人間になってほしい」という願いを捨て去った訳ではないからです。
それに、「なおなお」は、罵倒することで、相手を鼓舞させ、矯正する方法しか知らないみたい。
相手に優しい言葉をかけて、頑張らせるなんてレパートリーは、皆無なんですよね。
この方法も、失敗に終わりました。
うまくいった方法
代替案を提案する
「なおなお」は、思い通りにいかないときに、優しい言葉かけをするレパートリーを持ちあわせていないので。
「なおなお」を、説得するのではなく、代替案を提案してみました。
「なおなお」の言い分は、もっともなんだけど。
「きいちゃん」が、しょんぼりしちゃって、パフォーマンスが悪くなる気がするんだよね。
ここはひとつ、「ひとかどの人間になる」という目標を達成するための提案を受けてみない。
「なおぞう君(私の心の中のキャラクター。情報を集め、分析し、考えるのが好き)」と、「ソルジャーなお(私の心の中のキャラクター。仕事や作業の実働部隊となっている)」に任せてみては、どうかな。
この2人がどう解決してくれるかを見守って、それから、どうするか考えよう。
そんな風に「なおなお」に提案すると。
「なおなお」は、渋々という感じではあるものの、静かになりました。
ありがたいことに、「なおぞう君」と「ソルジャーなお」は、失敗したことを挽回すべく、活躍してくれるんですよ。
「なおなお」が静かな状態だと、「なおぞう君」も「ソルジャーなお」も、力を発揮しやすいみたい。
「なおなお」が静かだと、良い結果が出る、ということを、「なおなお」に報告する。
「なおなお」が、安心する。
そんなことをくり返すうちに、「なおなお」が静かになる時間が増えていきました。
チヤホヤする
一日の終わりに、「自分の心の中のキャラクターたちをチヤホヤする」という取り組みを始めた私。
きっかけは、「一人ぼっち」「居場所がない」という気持ちをやわらげるためだったのですが。
続けるうちに、「なおなお」が静かになってくことに気づきました。
そのため、「なおなお」が日常生活で、登場しても、しなくても。
一日の終わりに、「なおなお」をチヤホヤすることにしています。
「なおなお」は、私がひとかどの人物になれるように、いつも心配してくれているんだね。
いつも本当にありがとう。
失敗したときは、私に喝を入れて、鼓舞しようとしてくれるんだね。
私が、日々を何とかやっていけているのは、「なおなお」のお陰だよ。
そんな風に「なおなお」に声をかけると、「なおなお」は、ドヤ顔になり、ご機嫌になります。
「なおなお」の態度を軟化させ、静かにさせるために、今、一番使える方法です。
「なおなお」と私の母は似ている
「なおなお」を静かにさせるための方法を模索するうちに、気づいたことがあります。
「なおなお」と私の母って、とてもよく似ている。
私の母は、気持ちに寄り添ってもらっても、望むような結果が出ないと不快になる。
それに、説得されると、理解する力はあるから、その場は静かになる。
でも、思い通りにならないときに、相手を責める以外の方法を知らないから、責めて責めて責め抜いてしまう。
代替案を出されれば、結果が出るまで待つことはできる。
良い結果が出ると、喜ぶ。
チヤホヤされるのは、大好き。
今後、私の母が喜びそうなことを試して、レパートリーを増やしていこうと考えています。
自分自身を責める「内なる子ども」は、あなたの近くにいる大人、おそらく、近親者の姿を取り入れています。
その相手をイメージして、相手が納得しそうなこと、喜びそうなことを、「内なる子ども」にしてあげてみてください。
「内なる子ども」の態度が変わっていくかもしれませんよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※心を整えるためには、自責の念だけでなく、自分の頑張っている部分にも注目することが必要だ、という気づきが訪れました。