家事をしない配偶者と家事を分担する② 自分が求めているものがカギとなる
夫婦で家事を分担することで、「互いに支え合って暮らしている」という思いを持ちやすくなります。
一方、家事分担に偏りが生じると、負担の大きいほうが、「自分は大切にされていない」と感じがちです。
それに、配偶者に発達凸凹がある場合、平等な家事分担は難しくなる~。
私が、発達凸凹がある夫と、家事を分担するにいたったプロセスを、経験を交えてお伝えしますね。
※「発達凸凹」とは、発達障害の診断はつかないまでも、発達障害と同じような特性を持っていることを指します。
夫が家事をしない状況から、私の課題が見えてきた
家事をしない夫について深掘りしていくと、夫に以下のような傾向があることが明らかに。
- 一般家庭とは異なる「家事文化」のもとで育っている。
- 発達凸凹があるため、家事のようなマルチタスクをこなすことが苦手。
- 「仕事をしているとき以外は、自分の好きなことをして然るべき」という信念を持っている。
夫が家事に取り組むことは、ハードルが高いんだなあ~と気づきました。
夫の傾向を把握した後、「夫が家事をしない状況」について、改めて検討してきます。
「夫が家事をしない」という状況は、なぜ、生じているのか?
すると、私の課題が浮き彫りになってきました。
夫が家事をしないと、「私のようなダメ人間を助けてくれる人はいない」と傷つく。
一方で、私は、「人の役に立つ人間になって、ダメ人間である自分を脱却したい」と渇望する。
渇望の力は凄まじく、家事も、育児も、仕事も、私一人でこなそうと奮闘する。
私一人でも家事が回るため、夫は苦手な家事をわざわざやる必要を感じない。
ところが、夫が家事をしないと、私は傷つき、泣き叫ぶ。
自分のことを「要らない人間」と信じ込んでいた私。
夫が家事をしなくても良い状況を作りながら、夫が家事をしないと傷つく。
そんな矛盾した状況にはまり、夫婦喧嘩を繰り返していたのです。
※家事をしない夫の傾向を把握することについては、こちら。
家事分担を考える前に、母の呪縛を緩めることが必要だった
私が、自分のことを「要らない人間」と信じ込むようになったのは、幼少期からの母との関係が影響しています。
母の思い通りにならないと、母は私を罵倒し、いたぶるような言動をくり返していました。
母自身が苦しみを抱えていて、やりきれない思いを、私に八つ当たりをしていたのでしょう。
でも、幼い私には、そんなことを理解できるはずがありません。
私が悪い子だから、ママは怒るんだ。
そんな風に考え、自分の周りの小さな世界を理解していきます。
母との関係で生じた「私は要らない子」という信じ込み(ビリーフ)。
「私は要らない子」という信じ込みが、母の呪縛となって私を苦しめていたうえ、夫婦関係にも影を落としていました。
もう、お分かりですよね。
親との関係は、夫婦関係にも影響を与えるのです。
母の呪縛から解放されたいと思い、「ハコミセラピー」を通して、自己探求を重ねていった私。
「ハコミセラピー」は、今ここで起きていることに意識を向けていく「マインドフルネス(瞑想状態)」を使って、自分自身を見つめていくセラピーです。
「ハコミセラピー」で自己探求を続けていくと、徐々に母の呪縛が解けていきました。
母の呪縛が緩み、「残念なところはあるけれど、私なりに頑張っている」と、感じられるようになった頃。
ようやく、「夫が家事をしなくても良い状況を作りながら、夫が家事をしないと傷つく」という悪循環に気づきました。
夫との家事分担を考える前に、母の呪縛を緩めることが必要だったのです。
とはいえ、そこに行きつくまで、か~な~り~の時間を要しましたけどね。
※私が自分らしく生きるまでの紆余曲折は、詳しくは、こちら。
自分が夫に求めているものを見い出す
自分で自分にOKが出せるようになると、頭がクリアになってきました。
すると、「家事分担を考える前に必要なことがある」と考えるようになったのです。
本当に夫に家事を分担してほしいと願っているのか?
家事以外で夫に求めているものはあるのか?
じっくりと考えて、出てきた答えは。
私が一番求めているものは、私の心が削られないこと。
つまり、夫の一方的なおしゃべり攻撃を受けないこと。
そして、夫が強い口調で自己主張や言い訳をしないこと。
私の心が削られることがないのなら、夫が家事を分担しなくても、別に構わない。
なんと、夫が家事を分担することは、最優先事項ではなかったのです!
家事をめぐって夫婦喧嘩がくり返されていた当時。
私は、自分が本当に望んでいるものを、しっかりと把握できていませんでした。
なんなら、「夫婦は家事を分担し、助け合って暮らすもの」という、一般的な価値観を鵜呑みにしていただけ。
そのため、夫が家事をしないと、「私のようなダメ人間を助けてくれる人はいない」と傷つき、夫に当たり散らしていたのです。
※夫のおしゃべり攻撃から心を守ったことについては、詳しくは、こちら。
自分が求めているものを軸に夫と交渉する
「私の心を削られたくない」という望みを最優先事項として、家事分担について夫と交渉していきたい。
とはいうものの、夫のような発達凸凹さんの場合、分かってもらうのが、なかなかに難しい。
そこで、私なりに交渉の仕方を考え、実践することにしました。
発達凸凹のある夫と交渉する際のポイント
発達凸凹がある人とやり取りする際には、工夫が必要です。
私は、「発達障害(発達凸凹)のある人に関わる際の基本的な対応」を取り入れました。
①気持ちや状況をハッキリと論理的に伝える
②してほしい行動を具体的に伝える
③怒りに任せて伝えることはNG
④口頭だけでなく、視覚情報(文字や絵など)も提示して伝える
⑤相手の強みを認め、粘り強く対応する
この5つのポイントを踏まえて、家事分担について夫と交渉していきました。
※発達障害(発達凸凹)の配偶者と暮らすための基本的な対応について、詳しくは、こちら。
夫と実際に交渉を重ねていく
自分が求めているものを軸に夫と交渉した実際について、お伝えします。
まず、給与と家事分担の比率を用いて、私が過重労働になっていることを、淡々と説明することにしました。
※「発達障害(発達凸凹)のある人に関わる際の基本的な対応」のうち、①状況をハッキリと論理的に伝える、③怒りに任せて伝えることはNG、を活用。
あなたと私の給与の比率は「3:2」。
公平という観点で考えれば、家事分担の比率は、あなたと私で「2:3」になって然るべし。
現時点で、あなたと私の家事分担の比率は「0:10」。
バランスが崩れており、私の過重労働になっている。
そのため、家事以外の負担を私にかけないでほしい。
次に、私の望みを交え、淡々と夫との交渉を重ねていきます。
※「発達障害(発達凸凹)のある人に関わる際の基本的な対応」のうち、②してほしい行動を具体的に伝える、③怒りに任せて伝えることはNG、を活用。
あなたの一方的なおしゃべり、強い自己主張、ひたすら続く言い訳は、私の心を削る。
家事は、やりたくなければ、やらなくとも良い。
その代わり、今後は、事務連絡など、伝えないと困ること以外、一切話しかけないでほしい。
おしゃべりを楽しみたいのなら、過重労働のアンバランスを補正するため、家事をしてほしい。
あなたが家事を分担する分だけ、あなたのおしゃべりを聞くことにする。
すると、夫が、家事を自発的に手伝うようになりました!
よっぽど、しゃべりたかったんですね~。
私も、夫が家事を行う分だけ、夫の話を聞けば良いので、気が楽です。
そうはいっても、夫が分担するようになった家事は、休日の洗い物と、毎日のお風呂掃除だけ。
まあ、家事を全くやらなかった夫からすると、大きな進歩ですけどね。
発達凸凹がある夫の家事遂行は大目に見る
ちょっとだけではありますが、家事をするようになった夫。
とはいえ、発達凸凹の夫が家事をこなすこと、継続することは、なかなかにハードルが高いはず。
家事を継続してほしいので、できるだけ夫に負荷をかけないようなルールを取り決めました。
私と夫で取り決めた家事のルールは、以下の通り。
(1)家事は、夫がやっても良いと思ったことのみ、やれば良い。
(2)私は、夫の家事のやり方にできるだけ口を出さない。
(3)夫にどうしても行ってほしい家事に関しては、私がイラスト入りの手順表を作成したり、動画を撮って共有したりする。
※(3)に関しては、「発達障害(発達凸凹)のある人に関わる際の基本的な対応」のうち、④口頭だけでなく、視覚情報(文字や絵など)も提示して伝える、を活用。
ちなみに、夫の家事遂行の様子。
休日、夫は食洗機を使って食器を洗いますが、洗うのは夜1回のみ。
台所のシンクには、朝から使った食器や調理器具が、山のように積み上がります。
私は、イラっとしますが、がまん、がまん。
食事の支度をしていて、食器や調理器具が足りない場合、「〇〇が必要だから洗って」と言うだけに留めます。
洗い終わった食器には、汚れがこびりついていることも、度々。
以前は、汚れをぬぐってから洗うよう助言していましたが、効果なし。
今は、「汚れが落ちてなかったよ~」とだけ伝え、私が洗い直します。
風呂掃除で汚れが目立つときも、「汚れで死ぬことはない」とスルーします。
ルールのお陰か、休日の食器洗いと毎日の風呂掃除は、ここ数年、続いています。
最近は、他の家事もこなすようになってきました。
- 洗面台の排水口ゴミ受けが詰まったら洗う。
- ハンドソープの中身を補充する。
- トイレットペーパーがなくなったら補充する。
- お風呂を洗う洗剤がなくなったら補充する。
私が「ありがとう。助かるよ~」と感謝を伝えると、「俺も成長してるんだ!」とドヤ顔をしています。
たかが家事分担、されど家事分担。
各々の育った家庭の文化、発達凸凹など持って生まれた特徴、親子関係で生じた心の傷など、様々なものが絡み合っています。
私の場合、母の呪縛を緩めるのに、かなりの時間を要したので、家事分担がスムーズに行われるようになったのは、わりと最近です。
私が、もっと早くに自分らしく生きることができていたら、こんなに苦労しなかったんだけどなあ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。