苦しい思いから抜け出せない自分と他人を比べても意味がない【私が自分を生きるまで⑳】
母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。
「自分を生きる」ために、努力を重ねていきます。
両親から愛情を受けていたことに気づき、親離れしたような心境になったものの。
今度は、自責の悪循環から抜け出せない自分を、他人と比べて苦しむようになりました。
苦しい思いの真打は、やっぱり自分自身だった
母からひどい扱いを受けてきたけど、私は、両親から愛されていた。
苦しんで亡くなった母は、愛する夫(私の父)と、天国で幸せに暮らしている。
ようやく、私にも、心穏やかで健やかな日々が訪れるんだわ~。
親離れしたような心境になり、問題は解決したと思っていました。
ところが、見当違いも、はなはだしい!
心穏やかで健やかな日々なんて、せいぜい1~2ヶ月程度。
徐々に、モヤモヤと嫌な気分が立ちのぼってくるのです。
いったい、どういうこと!?
困惑しながらも、自分の中で起きていることに意識を向けてみました。
すると、理想の人物になれない自分を嘆き悲しみ、自分を責める声が聞こえてくるのです。
「親から愛されている」と気づいた人は、心が解放される。
そもそも、親から厳しい言葉をかけられても、折檻を受けても、自分を責めることなく、自分らしく、地に足をつけて暮らしている人がいる。
それなのに、私は、「自分はダメ人間」と思い込んで、同じところで、足踏み。
成長も進歩も、ありはしない!
私の中に、確固として、今の私の在り様を許さない私がいるのです。
苦しい思いを作り出しているのは、やっぱり、私自身。
そして、自責の悪循環から抜け出せない自分を、他人と比べて苦しむようになりました。
※母から愛されていたことに気づいたという記事は、こちら。
※両親が天国で幸せに暮らしていると実感し、両親の死を受け入れたという記事は、こちら。
生き延びるために理想の人物になろうとする小さな私
私自身のことを嘆き悲しんでいるものの正体は、私の中にいる、小さな女の子。
インナーチャイルド(傷ついた子ども)とも言えます。
この子は、「良い子になりたい」という切なる願いを持っていて、そうならない自分を嘆き悲しむのです。
思い返せば、私が3~4歳の頃、母は嫁姑問題で心が折れ、行き場のないイライラを私にぶつけるようになりました。
母自身、つらい生い立ちを抱えており、自分一人で感情を処理することが難しかったのでしょうね。
母から、理不尽な対応を受ける、小さな私。
「私が悪い子だから、ママに怒られるんだ」と信じ込む。
「このまま、ママに嫌われたら、死んじゃうかもしれない」と怖れる。
「だったら、良い子になって、ママに好かれて、生き延びるしかない!」と決意する。
母に好かれるような素晴らしい人間になって、生き延びるため。
自分を叱咤激励するシステムが出来上がりました。
小さいときは、生き延びるために、必要なシステムだったかもしれません。
でも、すっかりいい歳のおばさんになっている今では、そんなもの、必要ありません。
「必要ない」ということが、頭では理解できても、腑に落ちていないんですよね~。
セルフケアが成り立つ唯一の方法は、小さな子の声を聞き、気持ちに共感し、優しい言葉をかけるというイメージワークのみ。
それを、ひたすら行っていくしかないのですが。
他の人は、そんなに何回もやらなくても、解放されていく。
何回もやらなければいけないのは、自分がダメな人間だから。
そんな声が聞こえてくると、取り組む意欲が削げてしまいます。
※自分を責めまくる私がたどりついたセルフケアの方法は、こちら。
自分の在り様を受け入れるしかないと気づく
このやりきれない状況を、「ハコミセラピー」の個人セッションで見てみることにしました。
「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」を使ったセラピー。
心と身体の両方に働きかけていきます。
「マインドフルネス」とは、ゆっくりと深呼吸をしながら、目をつぶり、今ここで起きていることに意識を向けていくこと。
「マインドフルネス」の状態になると、自覚できる意識(顕在意識)の覚醒が、ゆっくりと低下していきます。
すると、普段の生活では意識していないけれど、無意識の中に眠る大切なものが、浮かび上がってくるのです。
浮かび上がってきたのは、忘れていた思い出の1シーン。
小さな私、なおちゃんが、道路を走っている。
私が保育園年長か、小1の頃。
母、私、弟が乗っていた車が、走行中に横から追突され、3mほど下にあるリンゴ畑に落ちてしまったのです。
私と弟は、無傷でした。
ですが、運転していた母は、ハンドルに身体を強く打ちつけ、フロントガラスの破片を全身に浴び、ぐったり。
母は、近くに住む人に助けられ、リンゴ畑のそばのお宅で、救急車を待っています。
小さな私は、「ママを助けるんだ!」と思いながら、母がいるお宅の前の道路を、全力で往復していました。
大人の私から見れば、何の意味もないこと。
小さな私、なおちゃんが走り回っても、母の助けにはなりません。
ふと、思いつき、大人の私は、走っているなおちゃんに声をかけてみました。
なおちゃん、すごい勢いで走ってるんだね。
すると、なおちゃんは、大人の私の前を通る度に、走るスピードをちょっと緩め、私を見上げるようにして、いろんなことを言っていきます。
なおちゃんのエネルギーは、普通の人の3倍。
なおちゃんは、イノシシより、猪突猛進。
なおちゃんの勢いは、誰にも止められない。
なおちゃん、つまり、幼い私の姿を見るうち、気づきました。
私は、もともと、生きるエネルギーというか、パワーが強いみたい。
それに、猪突猛進で、柔軟に対応することが苦手。
だから、「母に嫌われたら生きていけない」と信じ込むと、その考えをものすごい力で握りしめ、やすやすと手放すことができない。
しかも、理想の人物になれない自分を、あり得ないほど猛烈な勢いで、一生懸命、嘆き悲しんでしまう。
とはいえ、人生プラスマイナスゼロ。
無駄にエネルギーが高くて、猪突猛進なお陰で、実生活では、やってみたいことを実現してきたじゃない。
実家を出たい一心で、勉強に励み、大学進学を機に、一人暮らし生活をゲット。
仕事を辞め、心理学を学ぶため、大学に学士入学し、大学院にも進む。
心理カウンセラーとして働き、臨床心理士、公認心理師などの資格を取得。
34歳で死ぬ人生しか思い描けなかったのに、婚活に励み、結婚して、息子を出産。
私には、私の持ち味があるし、他の人には、他の人の持ち味がある。
比べても、意味がない。
自分の在り様を受け入れるしかない。
私の場合、人の3倍はかかると思って、気長に取り組むしかないなあ。
元気に走り回る、おバカだけど、健気な、なおちゃんの姿を見ることで、腹をくくることができました。
頭で考えても、堂々巡りになることって、ありますよね。
ですが、自覚できる意識(顕在意識)に、ちょっと休んでもらい、無意識にあるものとつながることで、新しい理解が生まれます。
自分に必要なものは、自分が知っているんですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※「自分を責める内なる声」は、幼い私が信じ込んでいる考えだと思っていたのですが、フラッシュバックでした。詳しくは、こちら。