怒りを発散してもスッキリしないのは?
怒りを発散すると心が整って、自分らしくいられる。
そう気づいて、怒りの発散を日常生活に組み込んでみたのですが、スッキリしません。
夫に対して怒鳴り散らした後と同じ感じです。
一人で怒りを発散しても、なぜスッキリしないのか、考えてみました。
怒りを発散したら心が整ったという体験
怒りを出したらスッキリした~!
「ハコミセラピー」の「Skillトレーニングコース」を受講中、怒りを表出するワークを行って実感しました。
ちなみに、「ハコミセラピー」とは、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていく「マインドフルネス」をベースに、心と身体の両方に働きかけるセラピーのこと。
「Skillトレーニングコース」とは、「ハコミセラピー」の理論と技法を専門的に学び、セラピーの現場で実践的に使いこなせるようになることを目指すコースです。
さて、怒りを表出するワークですが、1つ目は、不平不満を叫ぶワーク。
二人一組で行いました。
相手が、私の口を手で塞ぐ。
私は、怒りを感じた場面をありありと思い出す。
そして、思いっきり、不平不満を叫びまくる!
「ふざけんな!」とか、「いい加減にしろ!」とか。
いやはや、あり得ないほどの爽快感。
もう1つは、座布団から飛び出るワーク。
十人程度の参加者全員で行いました。
うずくまった私の身体に座布団をたくさんかけてもらい、他の参加者全員が上から押さえつける。
私は、これまた、怒りを感じた場面をありありと思い出す。
そして、思いっきり、座布団の中から飛び出る!
思わず、大笑いしてしまうほどの達成感。
2つのワークを行ったら、怒りがすっかり消えてしまった~。
心が整い、しばらくの間、自分らしく、ほんとに良い気分で過ごすことができました。
日常生活で怒りを発散してみたけれど、スッキリしない
怒りを表出するとスッキリして、自分らしくいられる!
そう感じた私は、日常生活においても、一人で怒りを発散してみました。
クッションでソファを殴りまくる
自宅でイライラや怒りが高まったとき。
怒りに任せるような感じで、クッションを両手でつかみ、ソファに打ちつけます。
怒りが放出されるような感じはするものの、爽快感がない。
ふと気づくと、家族が遠巻きに、おののいた表情。
罪悪感のような、嫌な感じが、胸の内に広がってきます。
小さな声でうなってみる
ハコミセラピーの仲間から教えてもらった方法。
イライラを感じたとき、小さな声で「う~っ」とうなってみます。
周りに人がいなければ、職場でも、道端でもOK。
イライラを声にのせることで、怒りをこらえる苦しさはなくなるものの……。
満足感が得られません。
イメージの中で叫ぶ
小さな声でうなってみる方法にヒントを得て、私が工夫した方法。
イライラが募ってきたら、険しい表情で、仁王立ちになっている私自身をイメージ。
そして、イメージの中で、「ふざけんな!」「いい加減にしろ!」などと叫びます。
叫ぶ瞬間、下っ腹に力を入れると、叫ぶイメージにリアリティが出るんですよ。
イメージの中とはいえ、イライラを発散することで、それなりのスッキリ感。
でも、後から、何とも言えない虚しさが広がっていきます。
私なりに、日常生活において怒りを発散しようとトライしたのですが、どの方法も満足のいく結果が得られませんでした。
怒りを発散してもスッキリしないのは?
イライラを発散した直後に少しスッキリするものの、だんだん嫌な気分になっていく私。
そうなってしまうのは、なぜだろう。
考えた末に、次のことに気づきました。
「怒ってはいけない」という部分が活性化する
普段の生活では、イライラや怒りを感じても、ぐっと我慢をしています。
私の中に、「怒ってはいけない」という考えがあり、イライラしている私を押さえつけているからです。
そのため、一人で怒りを発散するワークを行うと、「怒ってはいけない」という部分が密かに活性化し、怒りを表出した私自身を罰するのです。
それによって生じる、罪悪感。
自責の念の強いタイプにとって、怒りを表出するだけではダメなのですね。
怒りの底には恐れや不安がある
人間を含めた生きものは、危機的な状況に遭遇すると、①逃げる、②闘う、③固まる、という対処法を取ります。
「②闘う」を選ぶ場合、危機的な状況で感じた恐れや不安を「怒り」に変換。
そして、「怒り」を起爆剤にして「闘う」ことで、危機的な状況を生き延びるのです。
つまり、怒りの根底には、恐れや不安があります。
一人で怒りを発散するワークを行うと、怒りへのケアはできますが、恐れや不安はケアしきれません。
怒りを放出した分、取り残された恐れや不安が、以前より強く感じられ、嫌な気分になるのです。
気持ちよく怒りを発散をするために必要なこと
ハコミセラピーのSkillトレーニングコースで行ったワークには、前述した2つの要素をカバーするエッセンスが含まれています。
「怒ってはいけない」という部分を活性化させない
ハコミセラピーで行ったワークにおいて、相手は、口を塞ぐ、座布団の上から押さえつけるなどしています。
実はこれ、相手が「怒ってはいけない」という私の気持ちを肩代わりしているのです。
そのお陰で、私は、「腹が立つ」という気持ちに集中できます。
それに、「怒ってはいけない」という部分が相手に移っているので、活性化しないのです。
だからこそ、怒りを発散することだけに注力でき、罪悪感も湧きません。
恐れや不安をケアする
相手が傍にいてくれ、私が怒りを発散するさまを見守ってくれる。
つまり、相手が、私の怒りだけでなく、その根底にある恐れや不安にも寄り添ってくれているのです。
そして、相手に受け入れられることで、怒りの根底にある恐れや不安が癒されていきます。
一人で怒りを発散してもスッキリしないのは、「怒ってはいけない」という部分を肩代わりしてくれ、恐れや不安に寄り添ってくれる人がいないからなんですね。
夫に対して怒鳴り散らすと、怒りを発散しているように見えても、後から虚しい思いがするのは、同じ理由からだろうなあ。
今回は、怒りを表出してもスッキリしないことについて考えてみました。
一人で怒りを発散して解消することができる人は、「怒ってはいけない」という部分が活性化しづらい人か、恐れや不安があまり強くない人かもしれません。
ちなみに、私は、恐れや不安で心がザワザワする時は、別の方法で自分を癒しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。