ツライ思いを溶かす「ハコミセラピー」の魅力 ノンバイオレンス
「やっぱり、私は要らない子」という信じ込み。
20年もの間、心理学を学んでも、さまざまな心理療法を試して、どうしても手が届かない領域でした。
ところが、「ハコミセラピー」に取り組んだ8年間で、「私は要らない子」というカタマリが溶けていきました。
今回は、苦しい思いを抱えてもがいていた私を救ってくれた、「ハコミセラピー」の魅力についてお伝えします。
「ハコミセラピー」とは?
「ハコミセラピー」は、1980年前後、アメリカのセラピストである「ロン・クルツ博士」が作り出した心理療法です。
東洋と西洋の英知を統合させたもので、心と身体の両方に働きかけます。
今、ちまたで流行っている「マインドフルネス(瞑想状態)」を、最初に取り入れた心理療法でもあります。
「ハコミセラピー」には、ざっと、次のようなものが混ぜ込まれています。
- 仏教
- タオイズム(老荘思想、道教)
- さまざまな種類のカウンセリング理論
- ヒプノセラピー(催眠療法)
- ボディワーク(身体への働きかけ)
「ハコミ」という不思議な用語は、アメリカ先住民、ホピ・インディアンの言葉で、「あなたは何者か」という意味です。
新しく作り出したセラピーに、名前をつけたいと考えていた、ロン・クルツ博士。
勉強会をおこなっていたとき、メンバーのひとりが、「ハコミ」という言葉を出したとき。
ロン・クルツ博士は、「それだ!」とひらめいたんですって。
「ハコミセラピー」とは、あなたが何者であるかを見いだすセラピー。
このセラピーの本質をズバリと表現している、絶妙なネーミングです。
「ハコミセラピー」の魅力である「ノンバイオレンス」とは?
「ハコミセラピー」の魅力の1つが、徹底した「ノンバイオレンス(非暴力)」です。
「ノンバイオレンス」の意味は、「人の心を脅かすことなく、あるがままを受け入れる」。
そして、「ノンバイオレンス」の背景にあるのは、タオイズム(老荘思想、道教)。
タオイズムの考えは、水にたとえると分かりやすくなります。
- 水が、高いところから、低いところへ流れるように、すべての物事は、なるようになっている。
- 水は、四角形のいれものに入ると四角くなり、円形のいれものにいれると円くなるように、その場、その場で、最適な形になる。
つまり、そのときに必要なことが、必然的に起きているので、あるがままに受け入れていこうという考えです。
「ノンバイオレンス」は絵に描いたモチだと思ってた
「ノンバイオレンス」と言うのは簡単ですが、実践するのは、えらく難しい!
「バイオレンス(暴力)」は、一般社会では、もちろんのこと、心理療法の世界ですら、起こっているからです。
たとえば、心理療法において。
極端な考え方(ビリーフ)を正す、親への執着を手放すというのは、カウンセラー(セラピスト)がおこなう、問題解決のための「介入」です。
でも、心の世界に侵入されるという意味で、「バイオレンス」とも言えます。
一方、ただ話を聞くだけで、何もしてくれないという感じを与えるのは、「放置」という意味で、「バイオレンス」です。
いずれも、カウンセラー(セラピスト)が、相談者(クライエント)のために、良かれと思ってしていること。
だから、「ノンバイオレンス」は、実現不可能な、絵に描いたモチだと思っていました。
やることなすことがすべてOK
※「日本ハコミ・エデュケーション・ネットワーク」のホームページより引用
私が参加したのは、「日本ハコミ・エデュケーション・ネットワーク(JHEN)」が主催する「ハコミセラピー」のグループワーク。
「Beingコース(自分らしく在ることを体験する)」と、「Skillトレーニングコース(技術や技法を学ぶ)」があります。
「Beingコース」に参加したばかりの頃、阿部優美さん(JHENの運営者の1人)から言われました。
せっかくだから、体験をシェアする時に、思ったことをみんなの前で伝えてみるといいよ。
ハコミの良さを実感するには、飛び込んで、泳いでみたほうがいいから」
「お金を払ってる分、元を取らなきゃ」と思い、シェアの時間には、勇気をふりしぼって、自分の体験をみんなの前で話してみました。
- ほかの人には知られたくない、ネガティブな体験や感情。
- 高野雅司さん、阿部優美さん(運営者たち)に対する、批判的な意見、文句、苦情。
どんなことを話しても、グループワークをリードする高野雅司さん、阿部優美さんは、「話してくれてありがとう」と言います。
10人ぐらいの参加者たちも、同じです。
私が、言うこと、やること、なすこと、すべてを、「そうなんだね」と、そのままに受け入れてくれます。
私以外の参加者の言動が、すべて受け入れられていく様子も、目の当たりにします。
- グループワークの最中に横になり、グーグー寝ていても、OK。
- 「ハコミなんて、意味がない。もう、今回限りで来ない!」と宣言しながら、次の機会にやってきても、「よく来たね」と歓迎される。
「ノンバイオレンス」で満たされた空間にいると…。
「私は、私のままで、この場にいてもいいんだ」ということが、じんわりと分かっていきます。
その人のペースに合わせてくれる
「Beingコース(体験を重んじる)」に半年間参加したあと、「Skillトレーニングコース(技法を学ぶ)」に参加しました。
「Skillトレーニングコース」は、「2日×10回=20日」という、1年間にわたるコース。
なのに、初めの「2日×2回」で、心が折れてしまった私。
「心理カウンセラーとして働いてきたんだから、うまくやらなくちゃ!」という考えが、自分の首を絞めていき、その場にいることがツラくなってしまったのです。
そのことを、高野雅司さん(JHENの運営責任者)に伝えたら、「参加したくなったら、言って」というお返事。
えっ、それでいいんですか?
となりますが、本当にそれで良かったのですから、驚きです。
挫折したことを、いっさい責められることはなく、私が参加する気持ちになるまで、ずっと待ってもらいました。
「Skillトレーニングコース」を途中で辞めてから、3年後。
ようやく参加したときも、「よく来たね~」と歓迎モード。
費用をどうしたらいいかと尋ねたら、「3年前に参加した4日分だけ、追加で払ってくれたらいいよ」だって。
うっそ~。
枠組みがゆるすぎて、拍子抜けしちゃうほどです。
同時に、私のペースにとことん合わせてもらえる環境を初めて体験し、心の奥底から、じんわりと温かくなりました。
自分の気持ちが整うまで、3年も参加を待ってもらった「Skillトレーニング」。
2020年9月、20日間の課程を終えて、修了証をいただきました。
感無量です。
次は、「ハコミ認定セラピスト」を目指して頑張ります。
いかがでしたか?
今回は、ツライ思いを溶かす「ハコミセラピー」の魅力の1つ、「ノンバイオレンス」についてお伝えしました。
「ハコミセラピー」の魅力は、ひと言で説明するのが難しいので、ちょっとずつ、お伝えしていきますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。